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貧困で生理用品を買えない女性は5億人超。生理用品を無料にしたところも

 2020年11月下旬、世界に先駆けて英スコットランドが全ての女性に対し、生理用品を無料で支給する「生理用品の無料提供に関する法案」を可決しました。 生理用品

国を動かした「生理の貧困」とは?

『ザ・ニューヨークタイムス The New York Times』によると、スコットランドで可決された法案の趣旨は、いま世界中で問題になっている「生理の貧困(Period Poverty)」の終焉。 「生理の貧困」とは、経済的な問題でナプキンやタンポンなど基本的な生理用品すら入手できず、月経に対しての知識を持たない状態のこと。WHO(世界保険機関)とユニセフがまとめた2015年の報告によると、世界で少なくとも5億人の女性が「生理の貧困」であることを訴えています。 紙ナプキン イギリスでは今年、新型コロナウィルスによるロックダウンで、さらに「生理の貧困」が悪化しており、チャリティー団体「プラン・インターナショナル」が5月に発表した報告によると、14歳~21歳の少女の10人に3人が生理用品を購入できない事態に陥っているそう。  また、人口の半分以上を女性が占める米国では、女性が男性よりも貧困生活におちいる可能性が高く、ミズーリー州の商業都市、セントルイスの低所得女性を対象に昨年発表された調査では、過去1年間で3分の2近くが生理用品を購入できず、5人に1人が毎月同じ問題を抱えているといいます。  代わりに、ボロ布やティッシュ、トイレットペーパー、オムツ、キッチンペーパーを使わなければならない女性たちも多いというレポートもあり、月経期間の衛生状態の悪化は感染症など健康上のリスクが生じる懸念もあることから、深刻な問題になっています。

2年前から学校では無料提供、でもコロナで通学できなくなって…

 今回の法案はスコットランド議会で満場一致で可決したもので、必要とする全ての人に生理用品を無料で提供するプログラムを全国的に開始するというもの。  スコットランドの女性首相ニコラ・スタージョン氏は、法案が可決された後、「この画期的な法案に投票できたことを誇りに思います。女性と少女にとって重要な政策です」とツイート。
 法案の提案書を提出したモニカ・レノン議員は、「スコットランドにとって記念すべき日であり、生理用品の全面無料提供の可能性を世界に向けて示すことができました」と、法案成立に協力した全ての人に感謝するコメントをツイートしました。 『グッド・モーニング・アメリカ Good Morning America』によると、スコットランドでは2年前から、政府のプログラムとして大学など教育施設での生理用品無料提供を始めており、これにならってイギリスやウェールズでも同様のプログラムを開始していました。  しかし、前述したように新型コロナのパンデミックによって全国の学校や青少年センターなどが封鎖。多くの少女が「生理の貧困」でナプキンやタンポンを入手できないでいたそうですが、この法案によって、スコットランド政府は他の公的機関や各地域の自治体に向け、同様の措置を取るよう強制できる権限を持つといいます。  英国では2021年1月から購入が非課税になり、2年前と同様、ヨーロッパ各地でもこの動きが広まっていきそうです。  日本で生理用品は軽減税率の対象外で、10%の消費税がかかっています。 Sources:「The New York Times」「Good Morning America」 <文/橘エコ> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
橘エコ
アメリカ在住のアラフォー。 出版社勤務を経て、2004年に渡米。ゴシップ情報やアメリカ現地の様子を定点観測してはその実情を発信中。
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