能年玲奈の不良役をどう見る? 『ホットロード』は意外なアノ人に注目

 紡木たくの漫画、「ホットロード」。

 このタイトルを聞いて、一気に思春期へと連れ戻される35歳以上、アラフォー女子は多いことでしょう。何しろ、筆者こそ、バリバリ「ホットロード」世代。友達と回し読みをし、和希とハルヤマに憧れたあの頃……。

ホットロード そんな我々(勝手に仲間にしてすみません)にとって、この伝説の少女コミックの実写映画化発表は、本当に、本当に衝撃の出来事でした。

 一応、念のためにあらすじを簡単に言いますと、父を幼い頃に亡くし、母に愛されていないと感じている14歳の少女・和希が、湘南の暴走族に属するハルヤマと出会い、惹かれあっていく様を描いた作品です。

 で、ですね。実際に公開された映画『ホットロード』は、中高生といった若い世代に支持されているそうなんです! マジで!? あ、これは逆偏見でしたね。思春期の想いはいつの時代も同じですもんね、といいつつ、その肝心な原作の“想い”や“空気”が、ちゃんと成立しているのかが、問題なわけで。

 最近の少女コミック原作モノに辟易していた私が、原作に心酔していた私が、原作を復習して(この歳になっても、ちゃんと泣けましたぁ。ホッ)、実写版を鑑賞!

意外!登坂広臣の「ハルヤマ」がハマり役!



 まずどうしても原作モノの映画化の際に持ち上がるのが、キャスト問題。いまだに「あまちゃん」「あまちゃん」言われる能年玲奈さんが和希を演じると発表された時点で、ファンたちの意見は真っ二つ。というか、そもそも実写化への反対多数なところからスタートしているのですから、能年さん、大変です。

能年玲奈 そしてスクリーンの能年さん=和希は。いい佇まいをしてましたよ。21歳という年齢を考えると厳しい部分も当然ありますが、和希の抱える孤独感や母に愛されたい気持ち、ハルヤマに惹かれていく様を上手く醸し出していたと思います。

 ただ、ちょっと声がね。和希の声のイメージとは合わない感じがあり、ナレーションを多用した作品なので余計に気になりました。あ、でも頑張っていたと思いますよ(上から目線か)。ファンの方からの批判も少ないんじゃないでしょうか。

 そして思わぬ拾い物が。ハルヤマです。当初、ハルヤマに三代目J Soul Brothersの登坂広臣さんが抜擢されたと聞いたとき、「ハッア~!?」と思ったファンは多いはず。だいたい俳優じゃないっしょ!っていう。こちらは能年さんどころか27歳ですしね。

 でもおそらく紡木たくさんが、能年さんと登坂さんならと映画化にGOを出したというのは本当なんじゃないでしょうか。

登坂広臣 当時、みんな和希に感情移入しまくりで読んでいたわけですから、相手役のハルヤマは下手をすれば和希以上にキャスティングが難しい役柄。

 これが蓋を開けてビックリ。まず、カッコいい。アラフォーの筆者が言うのも恥ずかしいですけど、いい顔してるんですよ。

 それにこれが演技初だというのに、なかなかお上手。27歳でも、ちゃんとハルヤマでした。いい意味での誤算です。周囲の女性ライター仲間にも好評でした。

 和希の親友、えり役の竹富聖花さんもぴったり。というか、彼女が一番、コミックから抜け出たままのように感じました。

 さて、ここまでキャスティングに関してはアリな意見を書いてきました。でも、決定的にこれはナシでしょ!というキャストもおられました……。

 いま、「花子とアン」で人気急上昇中の、『変態仮面』こと(?)鈴木亮平さんです。彼が演じるのはトオルさん。トオルさんですよ! トオルさんといえば、ハルヤマに勝るとも劣らない人気を誇るキャラクター。

 正直、鈴木さんのトオルさんは暴走族のヘッドというより、もうその上の世界にいっちゃった人でした。コワすぎました。でもこれは鈴木さんのせいじゃないでしょ。明らかにキャスティングした時点で間違ってます! まぁ、ハルヤマとかぶるようなキャストは選べなかったんでしょうけど。

ホットロード 肝心の物語についても触れておきましょう。原作から何を捨てて、何を拾うのか、これも映画化には避けては通れない工程。

 前半は、まるでダイジェスト版のようでした。ひとつひとつのエピソードに思い入れがあるだけに、これで原作を知らない人にちゃんと伝わるのかとハラハラする始末。

 でも、これも映画というコンテンツに落とし込むには仕方のない作業だったんだと感じさせられることに。後半の描き方がとっても丁寧なんです(1か所だけ、ハルヤマに薬を飲ませるあのシーンの映し方は不満ですがね)。後半から終盤で一気に、和希の、ハルヤマの、そして和希の母親の心の動きがよく伝わってくるんです。

 この感情の揺さぶりを起こすためには前半のダイジェスト戦法も致し方なしだったかと。あれ、結局、アリだったってことですかね。

<TEXT/キャロルもつお>

映画『ホットロード』は全国公開中。
(C) 2014『ホットロード』製作委員会 (C) 紡木たく/集英社
オフィシャルサイト http://hotroad-movie.jp/

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