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韓国の日本人が見た、MERS騒動のドタバタぶり!ラクダ男、トンデモ療法も…

 感染者165人、死亡者23人(6月18日時点)と、おさまる気配のない韓国のMERS感染。韓国政府の対応の失敗は海外でも批判されていますが、現地でのドタバタぶりを、韓国在住6年のライター・藤田麗子さんに寄稿してもらいました。 =================

MERS対策を皮肉った“ラクダ男”現る

 最初の感染者が発表されてから1ケ月近くたち、韓国ではMERS騒動に慣れてきたのか、マスクをしている人もグンと減っています。  いま飛び交っているのが、「ラクダ」ジョークです。  6月14日、フルフェイスのラクダマスクをかぶって背中にコブを付けた男性が、地下鉄・松内駅のホームに現れ、話題を呼びました。これはインターネットの掲示板に投稿された写真で、私の周りでは「ラクダが出たから地下鉄も危ないね(笑)」などと言い合っています。
ラクダ男

市民がラクダに変装し、松内駅でパフォーマンス…ネットでは“笑えるが悲しい現実”などの反応(『ソウル経済』2015年6月15日)

 同月4日には、パンデミック映画のタイトルを『ラクダ』に変えたパロディポスターがネット上にいろいろ登場(『ラクダマックス 怒りのデス・ロード』など)。  ほかにもカフェの店先に「ラクダお断り」という横断幕が掲げられたりしています。  これらは、政府保健福祉部によるMERS予防マニュアルを皮肉ったパフォーマンス。韓国初の感染者が中東出張から帰国後にMERSと診断され(5月20日)、感染源の一つとされる中東のヒトコブラクダとの接触が疑われました。でも、それを受けた政府の「ラクダ対策」には、みんな呆れ果てています。  5月29日、韓国保健福祉部は、手洗いの呼びかけなど共に、「ラクダとの密接な接触を避けてください」「非殺菌のラクダ乳、生のラクダ肉を摂取しないでください」という予防策を公式facebookに公開しました。
韓国保健福祉部のfacebookより

韓国保健福祉部のfacebookより

「韓国にラクダの生肉を食べる人なんているの?」と多くの人々が呆れ返る中、6月上旬には各地の動物園でラクダが隔離され、国内の全46頭にMERSウイルス検査が実施される事態になりました。  結果はすべて陰性。ラクダたちは24頭がオーストラリア、残り22頭は韓国生まれで、中東とは関係ないのですから。ラクダ乳やラクダ肉だって、過去一度も韓国に輸入されたことがないそうです。  感染者のいる病院名は隠して、ラクダへの注意ばかり促していたのですから、バカらしすぎてもはや国民は茶化しモードになっています。

鼻の穴にワセリンを塗れば感染しない!?

 初めて死者が出たことが6月1日に発表され、これまでにないほどマスク姿の人が目立つようになりました。また、「鼻の穴にワセリンを塗れば感染しない」「免疫力アップにキムチが有効」といったトンデモ民間療法も浮上。
緊急災難メッセージ

6月6日、携帯電話に届いた「緊急災難メッセージ」 内容は「1.よく手を洗う、2.咳、くしゃみをするときは口と鼻を覆う、3.発熱・呼吸器症状がある人との接触を避ける等」というMERS予防情報

 6月7日になって、やっと政府は感染者が出た24病院を公表しました。リストにサムスンソウル病院が含まれていたことから、「やっぱりね。国民の安全より、財閥の病院経営を優先した」と政権への批判が殺到。しかも、そのリストがグチャグチャで、公表した病院名が、似た名前の別の病院だったり、住所が間違っていたり…。  この日、私が住んでいる京畿道龍仁市でも2人の感染者が確認されました。2人とも、病院名が公表される前にサムスンソウル病院を訪れていたのです。
ポスター

MERS予防策を呼びかけるポスター 。左は「MERS必ず知っておくべき10のこと」。右は「MERS、安心してください!」というコピーの下に、感染が疑われる場合の連絡先や受け入れ病院などが記されている

東方神起のコンサートには日本人も多数

 こんな状況の中、6月13日と14日に決行された東方神起のコンサート(ソウル)では、入口で消毒薬の噴射、体温測定などの対策がとられました。日本からもたくさんのファンが来たようです。ユンホが7月に兵役に行く前のラストコンサートなので、キャンセルするのは忍びなかったのでしょう。  一方で、外国人観光客のキャンセルが10万人を超えています。韓国文化体育観光部は6月15日、“MERS安心保険”を開発すると発表しました。韓国滞在中にMERSに感染した場合は治療費全額と旅行費、さらに感染時は3000ドル、死亡時には最大1億ウォンの補償金が支給されるというもの。この保険によって韓国に旅行したくなる人はあまり多くはなさそうですが…。  MERSへの対応はザンネンなことばかりで、本気で韓国が心配になってきました。 <TEXT/藤田麗子> ※参照元:『ソウル経済』2015年6月15日 http://economy.hankooki.com/lpage/society
/201506/e2015061514125093760.htm
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