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日本の女性はアソコのケアが手抜きです!【フランス官能美容の世界】

 ボンジュール! パリ在住の皮膚科専門医&美容恋愛アナリストの岩本麻奈です。  この季節になると、特に“匂い”に敏感になってしまいますよね。前回は”ちつトレ”の実態をお届けしましたが、その玄関口であるデリケートゾーンのケアでも、フランスは先進国です。  なにせ恋愛至上主義のフランス人。パートナー同士は、セックスを伴う性愛が基本。目は口ほどにモノを言うのと同様、デリケートゾーンは口よりモノを云うのです。  フランスでは通販サイトの他、ファーマシー(薬局)やパラファーマシー(準薬局)、一部のアイテムは近所のスーパーやデパート、そして香水店などで、気軽に“手にとって”デリケートゾーン専用ケア商品を購入することができます。
デリケートゾーンケア製品の棚(パリ)

デリケートゾーンケア製品の棚(パリ)

 そもそも“大人のエチケット”“衛生ケア”として大切なのがこのデリケートゾーンのケアですが、世界に名だたる美容先進国であるはずの日本は、アジアの中でさえ、立ち遅れているのが現状です。

なぜ日本は官能美容が遅れているの?

アソコのケア 江戸の庶民文化でも、女性のそこのケアについては詳細な文献が残されていますので、もともと無頓着という国民性とは違うと思います。婦人科医の友人に訊いても、“匂い、黒ずみ、かゆみ。それなりに悩みは多い”場所だとか。  そんな折、女性のデリケートゾーンの悩みリサーチの一環として中堅~大手のビューティ&ライフスタイル系企業を回ったことで、理由の一つが判明しましたの。……対応してくれた企業の方々の、ほとんどが男性だったのです。  あの~~お偉い方の中に女性はいらっしゃらないのですか? 女性のデリケートゾーンの悩みについても、「帰ってカミさんにききます」「あとで女性社員にきいてみます」という反応でした(セクハラにならないことを祈ります)。  それで、わたくしが妙齢の男性陣を前に、デリケートゾーン事情を淡々と説明するというシュールな展開に。これでは、女性の“リアルな声”が届きにくいですよね。

歳とともにデリケートゾーンに起きる危機

岩本麻奈さん

岩本麻奈さん

 さて、以下から医学用語など小難しい単語が少し続きますが最後まで読むだけでも、美容に嬉しいはず。なぜなら“頭を使う(=糖を使う)のは最良のダイエット!”ですから。  デリケートゾーンとは女性器周辺の皮膚のことで、上皮、粘膜、毛穴などから構成され、ヒダやら突起やらで入り組んでおり、とりわけ複雑でございます。思春期にはじめて手鏡で確認した時には卒倒しそうになったことを思い出します。 ●粘液が減ってバリア機能が落ちる  粘膜には、バリアになる“角層”やその下の“顆粒層”と呼ばれる部分がなく、その代わりに粘液で表面が満たされ、それがバリアになっております。とくに更年期やストレスなどによって、この粘液の分泌が低下することでバリア機能が落ちるので、アレルゲン(アレルギーの原因となる物質)などの刺激を受けやすく、時に炎症を引き起こしてしまうこともあります。 ●皮膚が伸びて刺激を受けやすくなる  また発汗、膣分泌物、繊維やナプキンなどの各種刺激や老化でデリケートゾーンの皮膚が伸びてしまい、表面積が増えることによって化学的・物理的刺激やアレルゲンとの接触が増えるという悪循環に陥ります。結果として外陰部上皮は厚さを失い、化学物質はますます浸透しやすくなるという訳です。また刺激部位に炎症性色素沈着が起こって黒ずむこともあります。 ●その他、いろんな老化が……  生理に脱毛処理、はたまた妊娠と出産、更年期など、女性特有のライフスタイルに伴って、刺激・不快臭・老化による乾燥や弾力の低下などがからみ合い、女性特有の悩みが生まれてきます。他にも、細胞の代謝が落ち、粘膜が劣化する、陰毛の白色化など。もちろん他の肌部位と同じように老化もします。

フランスでは専用ケア製品が当たり前

ウーマンエッセンシャルズ

フランス「WOMAN essentials」公式サイトより。デリケートゾーン専用のクレンジングジェルから、スプレー、マッサージオイルまである。フランスの国立科学研究センターとレメディアル社の共同開発で、最近、日本にも上陸した

 膣の中の生理学的pHは酸性で、外陰部などその周囲の皮膚は酸性(pH4.8~)から弱アルカリ性です。ボディソープなどトイレタリー製品を使ってしまうと、洗浄しすぎる可能性があり、上皮や粘膜を傷つけたりする危険性があるのです。  そこに棲む正常な細菌叢(人間と共存する微生物の集団)が崩壊することで、別の病原体に曝されることも。だから、デリケートゾーンの特徴に合わせたケア製品を使用するのが理想です。  ちなみに洗うのはあくまで膣周囲。膣の内部は自浄作用があるので使わないようにしましょうね。  官能美容発展途上の日本では、産婦人科医から医療系の製品を推薦してもらえますが、ちょっと色気が足りなかったりしますよね。数年前から、センシュアル(官能)の国・フランスのデリケートゾーン専用ケア製品、「WOMAN essentials」(ウーマン エッセンシャルズ)や「Lactacyd」(ラクタシード)などが上陸しはじめてますので、お試ししてみてはどうかしら。 <TEXT/岩本麻奈> 【岩本麻奈】 1964年生まれ。皮膚科専門医、一般社団法人日本コスメティック協会代表理事。 東京女子医大卒、慶應大学医学部皮膚科学教室で研修後、済生会中央病院などに勤務。3児の母。97年渡仏し、現在はパリ在住。著書は『女性誌にはゼッタイ書けないコスメの常識』『パリのマダムに生涯恋愛現役の秘訣を学ぶ』など多数 。 公式ブログ http://ameblo.jp/dr-mana/
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