「進撃」「デスノ」etc. 原作ファンが怒る実写ドラマ・映画が生まれるウラ事情

『進撃の巨人』『デスノート』など、いまやドラマや映画界はコミック原作作品であふれています。ですが、いざ制作された作品は原作からかけ離れた設定に改変され、原作ファンからは批難されるケースばかり。

進撃の巨人

東宝 公式サイトより https://www.toho.co.jp/movie/lineup/singeki.html

 でもドラマや映画の制作チームだってプロ。下手に変更すれば原作ファンが嫌がることはわかるはず。彼らも作品を売るためには観客が喜ぶものを作らなければならないはず。

 以前、ネットのニュースで「原作物でないと実写の企画が通りにくい」という業界人の嘆きが記事になっていましたが、ストーリーを変える必要はあるの?

 そこで、実際にコミック原作のドラマや映画を手掛けている脚本家のAさんを直撃。「すべての作品に当てはまるわけではなく、いくつかのケースとして聞いていただきたい」という前提のものと、改変に至る過程や脚本家としての本音をお話していただきました。

実写はアニメと違い、「役者ありき」で制作が進む



――原作コミックを実写の脚本に落とし込む際に改変するのはなぜなのでしょうか?

「そもそも、原作を忠実に実写化するのはどんなジャンルであっても不可能に近いんです。そのひとつが、キャスティングの問題です。アニメと実写では制作の流れが異なり、原作ありきのアニメと違い、実写の場合はまず役者のキャスティングありきなんですね。まずは、一年ぐらい前から人気のある方や売り出したい役者さんのスケジュールだけとりあえず押えておきます。

 なので依頼のされ方も、一部の例外を除いては『このマンガを実写にしたい』ではなくて、『●●さんで実写を作りたいから、それにあう原作を探してほしい』というものから始まることが多いんです。たまにある『なぜいまこのマンガをドラマ化?』というような作品は、そういった経緯であることが推測されますね。

 実際に某ロボットが主役のドラマは、主役にキャスティングされていた方の演技力が低すぎるため、演技をしなくてもいいロボットもので……という前提で原作を探したという噂です。そういったところを役者に合わせていく結果です」

――なるほど。では、原作にないオリジナルキャラクターが登場するのもキャスティングの関係なのでしょうか?

「それに関しては、尺の問題でしょう。原作の長いストーリーを映画の場合は120分、ドラマは全10話に収めるというのはとても難しい。とくにストーリーの起承転結を重点的に描いていくと、登場人物の関係性や心情などを丁寧に描いていく時間が足りなくなります。そこで、狂言回しの役割としてオリジナルキャラクターを登場させ、展開を早くしていきます。

 特に難しいのはドラマですね。映画なら120分で起承転結をつけるので起や承でゆっくり描いても観客は観てくれるのですが、ドラマは起承転結の“起”のなかで、さらに起承転結をつけなくてはいけないんです。視聴者に飽きられてチャンネルを変えられないようオリジナルキャラクターを出したり、改変したりするんです」

原作への愛は「ぶっちゃけ、ない」



――改変に至る過程はわかりました。それでも、原作ファンを怒らせない程度の改変にとどめることはできるのでは?

デスノート

日本テレビ 公式サイトより http://www.ntv.co.jp/drama-deathnote/

「うーん。原作を忠実にやる意味ってあまりないと思うんですよね。そのままやっても満足するのは原作ファンだけで、それ以上の層は広がらないんです。成功するなら、原作ファン以外のところを取り込まないといけないでしょう。

 原作に忠実にやって世間的に大ヒットした映画って思いつきますか?……考えなきゃでてこないでしょう? 大ヒットしたものは『三丁目の夕日』や『テルマエ・ロマエ』などどれも大胆な改変を行っています。

 こういった言い方はなんですが……原作ファンは文句を言いつつもちゃんと観てくれますから、新しい層に向けてアプローチすることが大事なんです」

――それでも、ストーリーの最も大事な部分が変更されたりなど、原作ファンから観れば必要のない改変が起こることも多々あります。制作スタッフに“原作愛”はあるのでしょうか!?

「ぶっちゃけると、あまりないと思いますよ。さきほどお話ししたように、キャスティングが決まって初めて原作を読む人が多数ですし、実写ならではの表現をしたいと考えるのはクリエイターの欲としてあるでしょうし……。

 一度、原作に忠実に書いて提出したことがあるんです。そうしたら制作スタッフから怒られました。オリジナリティが足りないって。ただ、その作品は結局、原作に忠実なものに仕上がったんですけどね」

――えっ。なぜ改変されたものが忠実なものに修正されたんですか?

「原作者の一声です。忠実なものでないと許可しないということになりまして。そういうケースはまれにありますね。噂ですが、『のだめカンタービレ』も原作者が改変をあまりよく思わず原作に沿った方向になったとか、『花より男子』はドラマ化する際にまだ無名だった井上真央を原作者の権限で起用したと聞きます。

 原作寄りの作品にするには、そういった権力を持った人の声があると、結果が変わるかもしれませんね。私たちみたいな脚本家は、内容に口出しする権限はありませんので(笑)。あとは、マンガが大好きなプロデューサーに当たれば……というところでしょうか

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 原作コミックの改変はドラマや映画の制作スタッフも、彼らなりの方法論でヒット作を出そうと試行錯誤した結果なのでしょう。Aさん曰く「別物として、暖かい目でみてほしい」ということでした。

<TEXT/そらこ>

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