犬・猫の殺処分ゼロを達成した自治体とは?【写真家・尾崎たまきさんに聞く】

 ネット上には猫や犬の可愛い動画があふれ、かつてないほど犬猫好きが増えているように見える昨今。でも一方で、年に約12万8000頭の犬猫が殺処分されている現状があります(平成25年度)。その現実を取材した『お家に、帰ろう 殺処分ゼロへの願い』を上梓した写真家・尾崎たまきさんと、『迷子のミーちゃん 地域猫と商店街再生のものがたり』の著者である木附千晶さんが対談しました。

熊本市動物愛護センターの取り組み



⇒【写真】はコチラ http://joshi-spa.jp/?attachment_id=348453

熊本市動物愛護センター

写真は、すべて熊本市動物愛護センター(尾崎さん撮影)

木附:尾崎さんの写真集には殺処分の現実だけでなく、犬の殺処分ゼロを実現した熊本市動物愛護センターの取り組みが紹介されていますよね(※)。そこにいるコたちの、びっくりするほど無邪気で明るい表情にとっても救われました。どうしてほかの自治体では熊本市のようにできないのでしょうか。

尾崎:殺処分ゼロを目指す自治体も少しずつ増えてはいます。熊本市に視察に来る自治体も多いようです。でも、自治体の考えとか、職員の異動とかいろいろあって、そう簡単にはできません。熊本市も最初の頃は、トップが変わるとまた殺処分が行われるということがあったそうです。

施設内の犬_1木附:今、熊本市では殺処分をすることは無いんですか?

尾崎:ごくまれにあります。たとえば交通事故で瀕死の状態になって運び込まれた猫とか、努力しても人と一緒に生きていくことが難しいコの場合はやむなくということがあります。

※編集部注:熊本市は、全国に先駆けて「犬猫殺処分ゼロ」を目標に掲げ、2014年度に「犬の殺処分ゼロ」を達成。猫の殺処分も14匹まで激減している。ほかには、2014年度に札幌市が「犬の殺処分ゼロ」(猫は534頭を殺処分)、神奈川県が「犬猫ともゼロ」を達成している。

施設内の犬_2

猫のほうがゼロ達成は難しい



木附:一般的には保護というか捕獲されてから1週間くらいで殺処分されてしまいますよね? 犬も猫も。

尾崎:3日から1週間ほど飼い主を捜すために公示してから殺処分という自治体が多いです。猫を殺処分する法的な根拠は無いのですがなぜか処分されています。

施設内の猫_1木附:そうなんですか? 統計的には猫の方が殺処分されている数は多いですよね。

尾崎:はい。犬よりも繁殖力が強いからなんでしょうか。犬は狂犬病予防法があるので、通報があったら自治体は捕まえないといけないんです。猫は、怪我をして発見されたとか、目も開いていない子猫で親猫もいなくて育てる者がいないとかでないと引き取りません。

木附:でも、私がミーちゃんを探したとき、怪我をしたわけでもないおとなの猫がけっこう収容されていましたよ。首輪をしていたり、毛並みがきれいだったりして「明らかに飼い猫」というコも。

尾崎:猫に関しては捕まえる基準があいまいなんでしょうね。でも原則は、たとえ「家の庭でおしっこをする猫がいる」とか「近所に野良猫が住み着いている」とか通報があっても、「飼い主がいるかもしれないから」と捕まえないはずなんです。

施設内の犬3

見かけたら「拾ってしまえばなんとかなる!」



木附:じゃ、飼い主のいない猫、いえ、本当は犬もそうですけど、そういう犬猫を見つけたらどうしたらいいんでしょう。もちろん「自分で世話する」のが一番なんでしょうけど。

尾崎:自治体に殺処分を行うのかどうかを確認したうえで、1週間預け、その間にできる限りのことをして元の飼い主や新しいもらい手を探すというのが現実的では。

木附:保護活動をしているNPO法人や動物病院に連絡すると、探し方や飼い方なども含めて相談に乗ってくれたりしますよね。私は、今まで10匹以上の子猫を拾い、飼い主を探しました。その経験上、「拾ってしまえばなんとかなる!」と思っています。

尾崎たまきさん

尾崎たまきさん

※続く、第2回「犬猫の殺処分の現場を見て、ショックでしゃがみ込んだ【写真家・尾崎たまきさんに聞く】」はこちら

⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】

【尾崎たまきさんプロフィール】
熊本県出身の写真家。水中写真のほか、水俣、三陸、動物愛護センターなどをライフワークとして追い続けている。写真集に『うみかぜ日記』『水俣物語』など。最新刊お家に、帰ろう 殺処分ゼロへの願い』の写真展が東京・八重洲ブックセンターで開催中(2015年9月23日 まで)

【木附千晶さんプロフィール】
木附千晶さん臨床心理士。IFF CIAP相談室セラピスト。文京学院大学非常勤講師。子どもの権利のための国連NGO・DCI日本『子どもの権利モニター』編集長。共著書に『子どもの権利条約絵辞典』など。愛犬家・愛猫家でもあり、著書『迷子のミーちゃん 地域猫と商店街再生のものがたり』を原案とする映画『先生と迷い猫』が10月10日に全国公開

お家に、帰ろう~殺処分ゼロの願い

人間の無責任という罪で消されるいのち。殺処分の現場を目の当たりにした著者は、憤りとショックでその場に座り込んだまま立ち上がることすらできなかった。そしてその怒りは、いつしか「殺処分ゼロ」を強く願う意思へと向かう。絶望の淵から希望へとつなぐ「いのち」のエッセイ。

迷子のミーちゃん~地域猫と商店街再生のものがたり~

再開発が進んで寂れてしまった、日本のどこにでもあるような商店街に住み着いていた地域猫のミーちゃん。ところがある日、ミーちゃんは行方不明になってしまいます。いなくなってからわかった、小さな存在が私たちに教えてくれたこと…。

白い犬_eye
犬猫の殺処分の現場を見て、ショックでしゃ…
クマ
犬や猫が生きづらい社会は、人間にとっても…
子猫
猫も人もハッピーな街を作るには?吉祥寺の…
冷え性
あなたの“むくみ対策”は間違いかも!? …
ビューティ
sponsored
モデルたち
お腹はへこんで、おっぱいは大きく!モデル…
ビューティ
sponsored
メディパラソル
飲む日焼け止め・メディパラソルが口コミで…
ビューティ
sponsored

◆木附千晶

臨床心理士。IFF CIAP相談室セラピスト。文京学院大学非常勤講師。子どもの権利のための国連NGO・DCI日本『子どもの権利モニター』編集長。共著書に『子どもの権利条約絵辞典』など。愛犬家・愛猫家でもあり、著書『迷子のミーちゃん 地域猫と商店街再生のものがたり』を原案とする映画『先生と迷い猫』が公開。

この記者は、他にもこんな記事を書いています

▼この記事がおもしろかったら「いいね」を押してね!
サイトリンク・バナー
esse