“松山ケンイチだけ”が実写キャラで成功するワケ

<寄稿/てれびのスキマ>

 松山ケンイチ主演で、漫☆画太郎の『珍遊記』が実写化!

 という、冗談のようなニュースが踊っても、「松山ケンイチ主演」という一文で、あり得るかも、どころか、期待できるかも、と思わせてしまう力が松山ケンイチにはある。

珍遊記(集英社)

珍遊記(集英社)

 これまでも松山ケンイチは、『デスノート』のL、『デトロイト・メタル・シティ』のクラウザー2世、『銭ゲバ』の蒲郡風太郎、『カムイ外伝』のカムイなど数多くの2次元の強烈キャラクターを演じてきた。その多くが実写化困難とされてきたものだ。

 にも関わらず、松山ケンイチは見事にそれを実写に変換して演じ、視聴者から信頼を勝ち取ってきた。だからこそ、『珍遊記』主演と聞いても、彼ならやってくれそう、と思わせることができるのだ。まさに稀代の2.5次元俳優だ。

『ど根性ガエル』はファンの期待を越える名作に



『ど根性ガエル』(日テレ系)のひろし役抜擢の際もそうだった。

 イメージの染み付いた過去の名作マンガ、それもその「16年後」という設定でドラマ化するという試みに最初に感じる感想は「またかよ!」「無理やり実写化するの意味あるの?」だろう。だが、松山ケンイチ主演となると話は別だ。

「合ってるかも」という気になる。しかもプロデューサーが河野英裕、脚本が岡田惠和という『銭ゲバ』(日テレ系)コンビとあっては期待するなというほうが無理である。

 果たして、ドラマ『ど根性ガエル』はピョン吉が跳びはねるようにドラマファンの期待を跳び越える名作となった。

ど根性ガエル

画像は『ど根性ガエル』公式サイトより http://www.ntv.co.jp/dokonjyo/

 その成功の要因は様々あるが、その一つは間違いなく松山ケンイチによるものだろう。

 第1話で登場した松山ケンイチ演じるひろしは、30歳に成長した、いや精神的には成長しないまま、肉体だけが歳を重ねたような、ひろしそのものだったのだ。プロデューサーの河野氏は松山起用の理由をインタビューでこう語っている。

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「もともと彼本来の気質は抜けのいい明るさのほうだと思うんです。優しくて大らかで、気さく。青森のなまりも、ずるいぐらい面白いし(笑)」

「そういう大らかな松山くんのドラマをやってみたかった」

(「ドラマ最前線 制作者インタビュー2 日本テレビ 河野英裕 なぜいま『ど根性ガエル』なのか」より)
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実写キャラがハマる理由は「カッコつけない」から



 思えば『銭ゲバ』では、まったく真逆のキャラクターだった。どちらも高いレベルで演じられるのが松山ケンイチの強みだ。

「家族がいるんで、人から嫌われてもいいやって思いました。もうどうでもいいですね」「他人にまで好かれる必要ねぇだろって」

 松山は今年7月6日放送の『しゃべくり007』(日テレ系)でそんな風に茶目っ気たっぷりに語っている。

 そう、松山ケンイチの魅力のひとつは、「カッコつけない」ことだ。

 自分がカッコよく映ろうという気配を微塵も感じない。自分が道化になることを厭わない。「カッコ悪いことこそカッコイイ」という意識すらないのかもしれない。

 だから漫画的キャラになりきることができる。人間離れしたかのような豊かな表情もそんな人によく見られたいという意識のストッパーがないからこそできるものだろう。“憑依型”俳優と言われる所以である。

“見た目”よりも“仕草”



 一方で原作ファンの多くがこだわるキャラクターの“見た目”について松山は似せることにそれほどこだわりを見せていない。

『デスノート』のLや、『デトロイト・メタル・シティ』のクラウザー2世を演じた際も完コピに近い見た目だったが、それは「衣装さんやメイクさんの力の結晶」だと複数のインタビューで言い切っている。実際、『銭ゲバ』の風太郎は原作とはかけ離れた容貌だ。

銭ゲバ

原作の風太郎は低身長で肥満体だが、松ケンは長身痩躯

 逆に松山がこだわるのは、その「仕草」だ。

 座り方や指先の動きまで徹底してこだわって演じたLの動きを見ると分かりやすいだろう。また、『ど根性ガエル』のひろしの躍動感溢れる動きと比べると一目瞭然だ。それらの動きから、彼が演じるキャラクターの内面や感情がにじみ出てくる。

 松山ケンイチは「動き」に、内面を宿している。実はそれこそが極めて漫画的表現なのだ。

 カッコつけずにキャラクターになりきり、2次元的方法論を使って身体性に満ちた3次元特有の動きで感情を表現する。だからこそ、松山ケンイチは二次元のキャラクターを誰よりも立体的に演じることができるのだ。

<TEXT/てれびのスキマ>

【てれびのスキマ プロフィール】
1978年、福岡県生まれ、静岡県育ち、福島県在住。テレビっ子。ライター。「水道橋博士のメルマ旬報」「日刊サイゾー」などでテレビ・芸人などに関するコラムを連載中。
ブログ:「てれびのスキマ」http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/
Twitter: @u5u

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