「産んだら生活できない…」不倫で母になる派遣OLの叫び
昨今、問題になっている「女性の貧困」。単身女性の約3人に1人が貧困状態だという統計もあるが、どのように貧困に沈んでしまうのか――。当事者を取材してみた。
<大田寛子さん(仮名・32歳) アパレル関係派遣>
30代女性の場合、結婚や出産という人生のイベントが、皮肉にも貧困化のきっかけになってしまうことがある。
派遣OLとして働く大田さんは、副業で勤めていたキャバクラで運命の出会いを果たした。
「彼は大手ゼネコンの背広組で、性格も優しくていい人でした。2年間付き合って、そろそろ両親の顔合わせかなと思っていたら、急に興信所から電話が来て……」
興信所の依頼主は恋人の妻だった。つまり、大田さんは既婚者に長年ダマされていたのだ。
「彼には子供もいて、面談で奥さんは『旦那には親として家庭に帰ってくることを望んでいる』と。確認しなかった私も悪かったのですが……。興信所の費用も含め、慰謝料を計200万円ほど請求されて、なけなしの貯金も底をつきました」
別れから2か月後、傷心の大田さんにさらなる悲劇が襲いかかる。なんと、妊娠と子宮頸ガンが発覚したのだ。
「もちろん彼の子供。最初は堕ろそうかと思っていましたが、医者から『出産後に子宮を全摘出するから、これが最後の妊娠になる』と言われて……。悩んだ末、シングルマザーで生きていこうと決心しました」
手術で事前に子宮の一部を取り、ガンが進行しないよう薬で抑える。そのせいで体調が悪くて、会社に行く日数は週3回にまで減った。
「出産したら数か月は働けない。ウチは母子家庭なので親にも頼れませんし、彼とは連絡が取れないので出産は知らせていません。今の時点でも生活が苦しいのに、生まれたらどうなるのか心配ですね……」
彼女の不安をよそに、お腹の子供はすくすくと育っている。
★寛子さんの希望する未来
働きながらシングルマザーをやり、いずれは結婚したい
― 女性の貧困化、知られざる実態【4】 ―