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子供がいると家で仕事ができない!っていう現実【シングルマザー、家を買う/46章】

仕事に対して疑問を抱かせる質問

 数カ月後に小学校入学を控えた娘がインフルエンザとなり、外出禁止を言い渡された1週間があった。しかし、私は仕事を休むわけにはいかない。原稿の締め切りは毎日訪れるのだ。  仕方なく、娘が折り紙をするまえでパソコンを開き、CDのレビューを書こうとすると、プレイヤーから流れるJ-POPに対して、娘が鋭すぎる疑問を投げかけてくるのだ。 「ねぇ、ママ。どうしてみんな、頑張れがんばれって歌うの?」 「ねぇ、この人、好きって言いたいけど言えないって、言えばいいんじゃないの?」 「ねぇ、メギドってなに?」  応援歌にラブソング、ビジュアル系の理解しがたい歌に対しての素直な疑問は、私がこれまであえて目をつぶってきたところである。  しかし、これに関しては、もう雰囲気で受け止めるのが礼儀なのだ。しかし、それを6歳の娘に説明しても理解できないのはわかっている。よく他人から「ストレートだね」と言われる私でさえも、絶対に突っ込まないところを娘はガンガン突っ込んでくるのだ。もう、純粋にレビューなんて書けない。書けないどころか、その曲の良さがどんどん薄れてきてしまう気がして、私はそっとパソコンを閉じた。  このとき、私はもう、決して子供の前では仕事をしないと決めたのだ。 シングルマザー、家を買う/46章_4 現在、保育園に入れずに困っているママのニュースが連日放送されているが、当事者以外はいまいちピンと来ていない気がするのが残念でたまらない。保育園に入れず働きたくても働けないママがいるというのは、本当に死活問題。かつての私のように、家で仕事ができず生活苦を前に怯えるようなママたちが少しでも減ることを願うばかりである。  そして今日も、娘はJ-POPの歌詞の疑問を私に投げかけてくる。最近、娘が疑問に思うのは、「どうしてみんなが“あの丘で約束”するのか」ということらしい。そして、その答えは、私にもわからない。 <TEXT/吉田可奈 ILLUSTRATION/ワタナベチヒロ> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】 【吉田可奈 プロフィール】 80年生まれ、フリーライター。西野カナなどのオフィシャルライターを務める他、さまざまな雑誌で執筆。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。座右の銘は“死ぬこと以外、かすり傷”。Twitter(@singlemother_ky※このエッセイは隔週水曜日に配信予定です。
吉田可奈
80年生まれ。CDショップのバイヤーを経て、出版社に入社、その後独立しフリーライターに。音楽雑誌やファッション雑誌などなどで執筆を手がける。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。長男に発達障害、そして知的障害があることがわかる。著書『シングルマザー、家を買う』『うちの子、へん? 発達障害・知的障害の子と生きる』Twitter(@knysd1980
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シングルマザー、家を買う

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