サトシ(仮)とのやりとりが終わった後も、別の男たちからメッセージは届き続けていた。苦労して撮った写真がそれなりの効果を生んでいるようだった。
もしこのSNSが普通のSNSであれば、「私はデブなのに、この人たち写真に騙されてるだけだよなぁ」と申し訳ない気持ちを抱いたに違いない。しかし、このSNSはぽっちゃり好きな男しかいないのだ。デブが好きな男がデブに言い寄ってきているだけなのだ。年齢だって嘘ついてないのだから、悪く思う必要はない。
許容されることが増えたとは言っても、ぽっちゃり女子たちは実生活ではどこか劣等感を持って生きている。やはりぽっちゃり好きはマイノリティで、ぽっちゃり女子をきちんと女性として扱ってくれる場所は結局のところ数少ない。このぽっちゃり専門のSNSという場所は、そうした子たちも思い切り羽を伸ばして「女」で居られる場所なのだろうと切実に感じた。
でも、私は既にこのSNSを退会してしまっている。実は「
ぽっちゃり好きな男に好かれても嬉しくない」と感じてしまったからだ。
女はルックスじゃない! と声高に叫んできた私。でも、美人が好きな男と同じように、ぽっちゃり女子が好きな男も結局は「ぽっちゃりか否か」で選んでるんだよなぁ…なんて。
今後も地道に現実社会で、自分がモテる場を探そうと思っている。
■余談
その後、とある合コンイベントでサトシ(仮)を見かけてしまった。ぽっちゃり専門の合コンではなかったのだが、サトシ(仮)は可愛いぽっちゃり女子をゲットして、カップルになって帰って行った。あの子「バック体勢でバイブをねじ込んで、同時にスパンキング」されたのかなぁ…。どうなんだろうなぁ…。
<TEXT/もちづき千代子>