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山田孝之・初の著書はバカらしすぎて怖くなる。『実録山田』謎のヒット中

ガンで亡くなった「おじぃ」の思い出

 その一方で、沖縄の祖父を回想した「おじぃ」の文章に、愛おしさが凝縮されている。  土地を売却したお金でラブホテルを建てた後、60歳で2000万円の借金をしてその改装に乗り出した、バイタリティーあふれる「おじぃ」。孫にかける言葉は、決まって「頑張りなさいね」。

2014年5月、女子SPA!でインタビューさせてもらったとき(PHOTO/望月ふみ)

 そんな祖父にガンが見つかる。山田と「おじぃ」最後の思い出は、こうつづられます。 <お別れの際、おじぃに顔を近づけると、おじぃは必死に口を動かして何かを伝えようとしていたが、耳をすませても何も聞こえず、「何? おじぃ。なんて言ってるの?」と問う僕に、おじぃは一生懸命話しかけ続けてくれた。結局おじぃの声を聞けないまま僕は東京へと帰り、その3週間後、おじぃは亡くなった。 (中略) その時僕は病院でおじぃとお別れする時のことを思い出した。あの時もおじぃはきっと「頑張りなさいね」「頑張りなさいね」と、何度も何度も言ってくれていたんだなと思った。あの時それがわかっていれば、僕は素直におじぃに「ありがとう。頑張るね」と伝えられたのにと思ったし、僕が何度も聞き返すから、自分の言葉を伝えられないと、おじぃに悔しい思いをさせてしまったなと、最後の最後に大きな後悔が残ってしまった。> (「おじぃ」)  死者へ向けて真っ直ぐに悔いる姿に、山田孝之が愛される理由の一端を垣間見た気がします。 <TEXT/比嘉静六>
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実録山田

俳優・山田孝之が自身初の書籍を発売する。数々のドラマ、映画で主演を務め、今や日本を代表する俳優である山田。メディアにあまり登場せず、私生活も謎に包まれている彼が、『実録山田』で綴る内容は、実際に山田の身に起こった出来事から繰り広げられる山田ワールド全開の随筆集!

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