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給料の未払いに暴力…それでも若者がブラックバイトを辞めない理由

行き着く先は日本経済の破壊

「低賃金であるにもかかわらず、正規雇用労働者並みの義務やノルマ、異常な長時間労働は、これまでも非正規労働者が直面してきた問題ですが、最近は学生たちが、学業に支障をきたすなど『学生であることを尊重されない』バイトが多くなっています」。そう語るのは久野由詠弁護士。 「『ブラックバイト』は学生の教育を受ける権利を侵害して教育システム・人材育成システムを破壊するもので、行き着く先は日本経済の破壊だといえます」(久野弁護士)  実際、学生の生活はブラックバイトのために破綻している。前出の神部氏も、こう指摘する。「例えば、バイトの面接で、『週に5~6日の勤務で大丈夫だよね』と言われたら、NOとは言えません。契約書も何も結ばないから、テスト前であってもシフトに入れられて休ませてもらえない。実際に成績が落ちる、なかには退学や休学にまで追い詰められた人もいます」。

大学の奨学金が高すぎて辞められない…

 そんなに大変ならば、なぜ学生たちはバイトを辞めないのか。「首都圏青年ユニオン」で委員長を務める神部氏は、「日本の大学の学費は世界一高額で、必然的に奨学金も高いからだ」と語る。 「卒業時には最低でも300万円、大学院まで行けば1000万円もの借金になるから、できるだけ奨学金の世話にならないためにバイトをするんです。ところがそのアルバイトで学業に支障が出るという悪循環にハマっているのが今の大学生です」(神部氏)  学生の労働組合を立ち上げた青木氏も学生の生活苦を指摘する。 「学費やその他の費用として、大体月5万~10万円くらいは稼がないといけない。しかも授業に出ることを優先すると、バイト探しで本当に苦労します。特に3年生や4年生になると、企業側も敬遠しますから、一旦働き始めたバイト先をなかなか辞められない」
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辞められない一番の原因は?
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