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不倫は悪か?乙武さん騒動を「障がい者と性」の専門家がふりかえる

「障がい者がバッシングされた」ことの意味

――じゃあ、乙武さんが健常者の不倫と同じように叩かれたのも、「健全」なことかもしれないですね。 坂爪:ある意味で健全とも言えますね。  でも、批判の方向がずれている気がするんです。  たとえば『乙武さんの奥さんが謝るのはおかしい!』という意見が多くありましたが、奥さんが謝りたくて謝っているなら問題ないですよね。夫婦間のことは他人にはわからないですから。  誰かに強制されたのなら問題ですが、自発的に謝っていたらしいので。
乙武ツイッター

乙武さんのツイッターは、3月23日で止まったまま https://twitter.com/h_ototake

――奥さんの謝罪文が出た直後に、友人からブリブリ怒ってLINEメッセが届きました。週刊誌によると、謝罪は奥さんの意思でも、その文面は自民党が修正したということですが。 坂爪:まあ『夫の不倫は妻のせい』っていうのは保守的な発想ですよね。そこがツッコまれた理由でしょう。  でも一方で、『障がい者を叩いちゃダメ』という雰囲気はなかったですね。そういう意味では健全とも言えますね。 ――そうですね、「そんなに叩いちゃかわいそうだよ、障がい者なのに!」みたいな声はなかった。そもそも一般における障がい者のイメージを大きく変えたのが乙武さんだったわけですが。

不倫をなくすことは不可能

坂爪:だけど、乙武さんに限らず、不倫した個人をバッシングしても意味がないと思うんですよ。 ――えっどうしてですか? 不倫する人は悪い人ですよ! 坂爪:確かに不倫はしないですめばベターですけど、そんなに特別なことではありませんよね。一夫一婦制が始まって以来、人類は不倫の問題と戦い続けてきていますが、いまだに解決法が発見されていません。おそらく不倫を根絶することは不可能なんですよ。 ――それは衝撃です。でも坂爪さんの『はじめての不倫学』を拝読すると、データや論文から「不倫は誰でもしうる、よくあることだ」とわかります。よくあるからこそ、これだけ不倫騒動が続くんでしょうけど。 坂爪:だから僕は、不倫を『個人の問題』として叩くだけじゃなく、『社会の問題』として議論すべき』だと思うんです」 ――どのような議論が必要なのでしょうか、それは次回詳しくお聴きしたいと思います。 <TEXT/和久井香菜子> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
和久井香菜子
ライター・編集、少女マンガ研究家。『少女マンガで読み解く 乙女心のツボ』(カンゼン)が好評発売中。英語テキストやテニス雑誌、ビジネス本まで幅広いジャンルで書き散らす。視覚障害者によるテープ起こし事業「合同会社ブラインドライターズ」代表
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セックスと障害者

障害のある人たちは、どのように自分や他人の性と向き合っているのだろうか。それらの喜びや悩みは、障害の無い人たちと同じものなのか、それとも違うものなのか。一般社団法人ホワイトハンズを立ち上げ、障害者の性の支援に長年携わってきた著者が、「純粋な天使」や「かわいそうな性的弱者」という画一的なイメージを取り払った上で、障害者の性の現状を8つのエピソードから解説。そこから、障害にかかわらず自尊心の基盤であり社会参加の原動力でもある、人間にとっての本来の性のあり方が浮かび上がってくる。


はじめての不倫学 「社会問題」として考える

既婚者が、「不倫」の誘惑に抵抗するためにはどうすればいいか?子どもや若者世代の貧困、ひとり親家庭や生活保護、高齢者の孤独死など社会問題の背景には、「不倫」がもたらす家庭破綻、それに伴う経済状況や健康状態の悪化が潜んでいる。にもかかわらず、「不倫」は個人の色恋沙汰、モラルの問題として捉えられてしまっているのが現状だ。本書では、既存の「結婚」に囚われない多様な在り方を実践している男女への取材をまじえながら、「不倫」を「個人の問題」として捉える視点から脱し、「社会の問題」として捉えなおすことによって「不倫」の予防と回避のための処方箋を提供する。本邦初の実践的不倫学!

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