例えば40代の独身女性である著者は、その願望が皆無なのにもかかわらず、しばしば周囲から「結婚・出産の推奨」を受けるという。その気はないといくら主張しても、
「強がり言っちゃって」「諦めるのはまだ早い」「ナガコも早く産みなよ~」といった言葉がたびたび飛んでくる……。しかし著者は、同調圧力に一切屈することなくこう言ってのける。
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恋愛には刹那的な陶酔感のみを求める。
明日以降の自分の感情に責任を持てないという理由で、結婚も出産も望まない。
ただただ今を豪快に使い捨てる。それが私のロマンである
※改行は編集部によるもの。
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人のせいにしないし、社会のせいにもしない。自分で考え、自分で決断し、自分で責任を取る。ひたすら自分の奥へ奥へと潜り込み、そこでつかみ取った実感を徹底的に言語化していくその姿には、まるで武士道のようなストイックさを感じる。
と書くと、極めて“マッチョ”な本に感じられ、冒頭に挙げた「女性に多大な努力を強いる言説」と何が違うのかと思われるかもしれない。確かに厳しい言葉も多いのだが、本書はそういった言説と決定的に質が異なる。そこにあるのは、
「人を信頼しているかどうか」という違いだ。