ムカつくけど、聴いてしまう。聴けば聴くほどに、悔しいけど好きになってしまう。そんな不思議な中毒性は、カーリー・レイ・ジェプセンに通じるように思います。トム・ハンクス出演のPVでも話題になった「I Really Like You」など、その最たる例。
⇒【YouTube】Carly Rae Jepsen – I Really Like You http://youtu.be/qV5lzRHrGeg
♪あ うぃり うぃり うぃり うぃり うぃり うぃり らいきゅ♪ 本当に腹立たしいのですが、気付けばどハマリしている。西野カナにそこまでの毒々しさはありませんが、やはり「なんだこんなもの」と思いながら、よくよく聴いてみれば否定すべき点がないと思い知らされるのです。
というわけで、ある種の人たちにとっては、西野カナの音楽は不快なまがいものなのでしょう。けれども、本物ぶってあぐらをかいている大層な作品よりも、丹精込められた贋物に心惹かれるのは珍しくありません。西野カナは、そんな真実を教えてくれる存在なのです。
<TEXT/音楽批評・石黒隆之>
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