日増しに好意を募らせていくイクミさんですが、声をかける勇気は持てないまま数か月が経過。そんなある日、
仕事帰りの電車で偶然にも彼を見かけます。
「神様からのごほうびでしょ!」と感じたというイクミさん。彼が降りる駅で一緒に降り、距離を保ちながら後をつけたとのこと。
その日から、できる限りその時間帯の電車に乗れるように調整し、
彼と会えた日は後をつけるようになりました。
「おうちは新しめでオシャレなマンション。ひとり暮らしのようでした。立ち寄る店から彼の趣味や好みなどいろいろ知れるのが嬉しいんです。友だちとの電話から声を聞くことができたり、彼がレンタルしたDVDを私も借りてみたり、今まで仕事と家の往復だけで何の楽しみもなかった人生が、一気にバラ色に変わりました」
有休が取れた日は出勤時の彼をつけて務め先を把握。尾行で得た情報を基に、名前や年齢はもちろん、食べ物の好みや交友関係など、あらゆる情報を調べ上げたのだとか。
彼のことを知れば知るほど、幸せな気持ちになれたというイクミさん。しかし、「もっと彼を知りたい」という欲求が膨れ上がり、ついには彼のマンションの近くへ引っ越すことに。
「彼の休日の過ごしかたを知りたかったんです。家賃は高くなるけれど、通勤時間も短縮できるし、ホームに佇む彼も見られるし、プラスになることのほうが多いでしょ」
彼のマンションを眺められる場所に部屋を借り、休日の様子をチェックするなかで、恋人の存在を確認したイクミさん。
「はじめはショックでしたが、彼の幸せそうな顔やいつもと違う一面も見られて、それはそれで嬉しかった」とのことで、デートを尾行することもしばしば。そのうち彼女についても知りたくなり、身につけていた服や化粧品、髪形など、マネできるものはすべて取り入れていったそうです。
「見た目が彼女に近づくと、
なんだか本当に彼と恋人同士になれたような気がしてきました。つないだ手の感触とか、微笑みながら絡ます視線とか、すべて感じられるんです」
いつか彼女と別れたときに、自分が彼の目に留まれば嬉しいというイクミさん。それまでに彼好みの女性に変われるよう、これからもひっそりと彼を追い続けていくそうです。
<TEXT/千葉こころ PHOTO/Captainzz>
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ビールと映画とMr.Childrenをこよなく愛し、何事も楽しむことをモットーに徒然滑走中。恋愛や不倫に関する取材ではいつしか真剣相談になっていることも多い、人生経験だけは豊富なアラフォーフリーライター。