そこに、若い女性がハマる無理なダイエットが加わると、危険な状態に追い込まれる。実際、高校時代に無理にやせようとしていた著者が体調を崩し、医者にかけこむと「
餓死寸前です」と一言。
2013年の統計によると、
20代女性の平均エネルギー摂取量は、終戦直後の1946年よりも少ないという結果すら出ている。知識不足のダイエットが食事のバランスを崩し、結果鉄分不足を加速させている現状が浮かび上がってきます。女性の社会進出をうながす一方で、健康状態へのケアが手つかずになっているというのですね。
今のところ国も手を打たない状況で、私たちにできることといえば、普段から意識的に鉄分を多く含む食材を摂る以外になさそう。たとえば、
レバーや
赤身の肉だったり、
ほうれん草や
ナッツ類といったところは、よく知られているかもしれません。
それに加えて、著者が注目するのが
海苔。以下は、知人夫婦の実体験です。
<奥様は妊娠してから、貧血がひどくなったそうです。鉄剤は吐き気を催させることが多いので、悪阻がひどいと、服用は難しくなります。
苦しむ奥さんを目の前に、どうすれば貧血が改善されるのかと必死に調べた際、海苔に鉄が多く含まれていることを知ったそうです。そして、
青海苔をあらゆる料理に振りかけ、毎日摂取させるようにしました。
すると、奥様の貧血はみるみるうちに改善されたそうです。>
(第十二章 何を食べ、どう気をつけるか?)
たとえば青海苔入りのオムレツ。なかなか美味しそう
しかしながら、勉強熱心なふつうの人が、いつもいつも正解にたどり着くわけではありません。だからこそ、国がガイドラインを設けておく必要があるのですが……。
“軽い不調”を未然に防ぐことを軽んじる社会に、果たして真の先進医療はあり得るのでしょうか。具体的な治療や大がかりな手術だけが、医療なのではない。本書の提言は、そうした当り前の事実を改めて思い起こさせてくれるのです。
<TEXT/比嘉静六>