――今作で感じた是枝監督らしさと、本作ならではという点がありましたら。
阿部:らしいなと思うのは、子どもが、今回は真悟役の吉澤太陽くんですが、すごくいいんですよ。出来上がった作品を観てより思いましたが、彼の目を通じて大人たちを見ているような映像になっていたし、太陽くんにしてみれば錚々たる大人の役者たちが出ているんだろうけど、まったく引けをとっていない。
是枝さんはいつもと同じように、子どもには台本を見せないで、その都度、こうしてってという演出をされていましたが、だからこそ、彼はその場を感じるお芝居をしていた。
自分が太陽くんくらいのときに、こういうダメダメな親戚のおじさんたちと遊んだなとか思い出しました。この人、また昼間から酔っぱらって上機嫌だよとかね(笑)。そこに焦点を当ててくれたのは嬉しかったですね。
『海よりもまだ深く』より
真木:是枝さんは、言葉よりも表情や日常の些細な出来事で思いを伝えるのがすごくお上手で、それは本当にならではだと思います。今回はそれがより深く、いろんなことが詰まっている感じがしました。出来上がった作品を観たとき、本当に素晴らしい映画を観たなと思ったし、そこに自分が出演していることが、すごく光栄だと感じました。
――今回の作品で描かれた男性、女性を観て思われたことは?
阿部:男はやっぱり多かれ少なかれ良多みたいなところがある。夢を捨てきれないとか現実の足元を見られない。楽しかり成功したことを思い出して新しいところに行けずに引きずってたり。そういう部分は男のほうがあって、女の人のほうが今を生きてかなきゃいけない気持ちが強い。自分たちの生活のこととか、男よりもちゃんと見てると思う。
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『海よりもまだ深く』より
――ダメには描かれているけれど、男性は良多にみんな共感すると?
阿部:そういうところって、人間みんなあるものですよね。だからかわいくも見えたり、コミカルに思えたり、ダメだなこいつとは思っても許せてしまう。
『海よりもまだ深く』より