さらに、スタッフの横領によって破産に追い込まれた店も…。
「全財産をつぎ込んで独立し、なんとか軌道に乗って2店舗目を出店した時でした。信頼するナンバー2を店長にしたのですが、売り上げがおかしく、チェックしたらレジのお金を抜いて自分のものにしていた。
問い詰めたら店に来なくなってしまい、彼が集めたスタッフも一斉に退職。結局、休業せざるを得なくなり、家賃負担をまかないきれずに自己破産することになりました」(元ワインバー経営者)
飲食業界のトラブルに詳しい石崎冬貴弁護士も「従業員による横領は後を絶たず、防止は難しい」と言う。
「コンピュータで売り上げを管理するPOSシステムを導入しても、注文をキャンセル扱いにしたりと、ごまかして横領する手法はさまざまです。特に経営者にとって厳しいのは、発覚が遅れて被害額が数百万円にまで膨れ上がったケースです。
そうなると『ない袖は振れない』ので、民事訴訟を起こしても、事実上、損害賠償は難しく、泣き寝入りせざるを得なくなります」
常に人手不足の飲食業界。横領するようなモラルの低いスタッフがいるお店には、お客としても絶対行きたくないものだけれど…。
―こんな店で食べたくない![飲食業界]の裏側【5】―