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日活ロマンポルノ、みうらじゅんに聞く楽しみ方

カウパーでいいじゃないか!

――今回のパッケージはいろんな引き出しがあって楽しめますよね。 みうらじゅん:ここははっきり断っときますけど、抜けない。抜けるわけない。抜くんじゃない、感じるんだ! みたいな。ブルース・リー的なのが今の日活ロマンポルノを見るコツです。あの時代特有の言い様のないセンスが映像にあるんですよ。文化なんですよ。不思議なんだけど、そういう不思議なエロを、僕らの時代は普通に観れた。今の人は最初から不思議なものだと思って観るんでしょうが。  あといまはインサート(挿入)の時代だけど、日活ロマンポルノはエロ含蓄のほうね。脳がピリピリするような妄想がいっぱいだから。AVが出てきて本番時代になったけど、ロマンってきっと“疑似”(※1)の意味だと思うから、隠してやらしいほうが好きな世代っていうか。モロ見えはね、やっぱりイヤなんですよ。日本のエロは“恥ずかしの文化”だから。 ――恥ずかしの文化ですか。 みうらじゅん:美保純さんの『ピンクのカーテン』からゴロっと変わったんじゃないですかね。女の人が「勃ってる、勃ってる」って言うような時代になった。ただ、昔は逆に『ふんどし祭り』みたいな弾けすぎの文化もあったんだけどね。いま町にポルノのポスター貼れないでしょ。昔は『生贄夫人』ですら貼ってあったよ。俺、夜中に剥がしに行って、いまだに持ってますからね。日活ロマンポルノの頃はある意味ファンタジーですから。『東京エマニエル夫人』とか、日活ロマンポルノはファンタジー巨編として観るべきだと思います。 ――AVにうんざりしている世代にも日活ロマンポルノがいいのでは。 みうらじゅん:僕くらいの年代になったら、もう射精とかどうでもいいし。カウパー(※2)止まりでOKになります。気持ちよかったらいいわけだから、エロって。カウパーが出てるくらいで止めといたほうが健康にも絶対にいいんじゃないでしょうか。オナニーだってもう射精しなくていいですよ。勃ち上がれ、70年代、童貞こじらせ男子。カウパーでいいじゃないか! ってキャッチコピー入れといて下さい(笑)。 ※1 挿入しているように見せかけて実際は本番行為をしていないことを「疑似」と言う ※2 男性が性的に興奮すると分泌される粘液で精液とは異なる。通称、我慢汁。 <TEXT&PHOTO/望月ふみ> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】 『ザッツ・ロマンポルノ 女神たちの微笑み』ブルーレイ 発売中 発売元:日活 販売元:ハピネット (C)1988 日活株式会社 日活ロマンポルノ公式サイト 日活ロマンポルノ45 周年メモリアルBD/DVD 特設ページ
望月ふみ
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi
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