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「華奢なアクセをつけると深夜の通販番組っぽくなる問題」を解決したい!――トミヤマユキコ

 だって、圏内ファッションに細い金のチェーンに小粒のダイヤがついたネックレス(圏内アクセのド定番)を合わせたところで、焼け石に水なのである。もちろん、着けないよりはよっぽどマシなのだが、地味で寂しい見た目から脱出できはしない。なお、この手の控えめすぎるダイヤは、トミヤマ家で「鼻くそダイヤ」と呼ばれており、本物だろうが高価だろうが、ぜんぜん評価されないことになっている。
ネックレス

華奢なネックレスを合わせてみましたが、服の印象があまり変わらず。Mさんも「コレじゃないですね~」と言っていました

 圏内ファッションのシックなイメージはキープしたまま、もうちょっと華やかに見せたいと思ったら、大ぶりなもの、あるいは凝った造りのものがよくて、その手のアクセを選ぶときには、圏外ファッションを選ぶときの感覚が非常に役立つ。これまで圏外/圏内は別物と思っていたが、この連載をやってきて初めて圏外ファッション好きであることが役だった! これはかなりうれしい! 圏外ファッション的思考法を抑圧しなくていいアクセ選びは、とても解放感がある。会社などで圏内ファッションを着なくちゃならず、イヤイヤ着ているそこのあなた、アクセだけは妥協しなくて大丈夫ですよ!  ただし、妥協しなくてもいいとはいえ、いくつか注意すべきポイントはある。まず、さっきも書いたが、おもしろいかどうかは重視しなくていい。というか、笑いを取りにいってはいけない。まあこれは異様におもしろ好きなわたしが気をつけておけばいいことだ。  そして、これが最も大切なポイントだが「トライブとスレイブ」は避けるべし。トライブとは部族のこと。つまり、民俗調のアクセは圏内ファッションと相性が悪いので、避けなさいという意味だ。東南アジアっぽいのとか、アメリカ原住民っぽいのは、身につけた瞬間、せっかくの圏内ファッションが死ぬと考えたほうがいい。  そしてスレイブだが、これは奴隷のこと。より具体的には、細身のチョーカーを指している。今期はベロアや革素材のチョーカーが出回っていて、ZARAなんて置いてあるネックレスの99%がチョーカータイプなのだが、これを着けるとかなり奴隷感が出てしまい、やはり圏内ファッションが死ぬ。わたしとMさんは、鏡の前で「われわれが着けると奴隷にしか見えないですね……」「若い女子が着けると違和感ないしかわいいのに何故や……」と言い合い、チョーカーをそっとラックに戻した。矢沢あい先生の名作マンガ『NANA』に出てくるような若者じゃないと、攻略は難しいとみた。ここは潔く諦めよう。
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