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発達障害のピアニスト、野田あすかさんの壮絶な人生

 片づけられないガールズトークに入れない…女性の発達障害について、これまで4回に渡ってご紹介してきました。  今回は発達障害の中でも「自閉症スペクトラム障害」と診断され、数々の困難を乗り越えて現在ピアニストとして活動中の野田あすかさん(35)と、そのご両親にインタビュー取材を行いました。その壮絶な人生を2回に渡って取り上げていきます。 野田あすかさん

22歳で発達障害とわかるまで、両親は自分を責め続けた

 実はあすかさんは22歳の時、自宅の2階から飛び降りて右足を粉砕骨折してしまいました。その後遺症のため、現在でも杖がなければ歩くことができず、日常生活では車椅子が必要です。しかしステージに立ち、ピアノと向き合う姿は、数々の苦難と向き合ってきた自信と優しさに溢れ、また聴いてくれる人たちへの感謝の笑顔に満ちていました。 「発達障害は、生まれつきの障害で、脳の機能の障害であり、親の育てかたやしつけが原因ではありません」(小児精神神経科医の宮尾益知医師)  この事実に気づかずに、「自分たちのしつけが悪かったから」とか「育て方が悪かったから」などと自分たちを責め続けてしまう親が大半です。野田あすかさんのご両親もそうでした。 ぬいぐるみ 母親の恭子さん(65)は教師として遠くの学校に通いながら、あすかさんの面倒をみていて、周囲から責められ続けたと言います。 「あすかがこうなってしまったのは、愛情不足に違いないとまで言われていました。すぐに仕事をやめなさいと言われ続け、私も母親失格だと自分を責め続けてきたんです。誰にも辛さを共有してもらえなくて、孤独な時間を過ごしてきました」  母親が責められる状況は、あすかさんが発達障害と診断された22歳まで続いていたのです。 「それまでも頻繁に過呼吸を起こしていたので心配だったのですが、本人が22歳の時、ピアノのレッスンでウィーンに短期留学をしたいって言ったのです。  もしかして海外では症状が出ないのではないかという期待を持っていたのですが、環境不適合を起こし、ウィーンの日本大使館から『救急車で運ばれた』という連絡が入ったんです。そのため、主人と2人ですぐにウィーンに飛びました。  ウィーンの病院で医師に診断されてはじめてわかったのが、あすかは広汎性発達障害、今でいう自閉症スペクトラムだとのことだったのです」(恭子さん)
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リストカットしても覚えてない「解離性障害」
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