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たんぽぽ・川村エミコ「可愛く生まれたかった」生きづらさを受け入れる考え方

 初のエッセイ集『わたしもかわいく生まれたかったな』(集英社)を上梓した、お笑いコンビ・たんぽぽの川村エミコさん(40歳)。
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お笑いコンビ・たんぽぽの川村エミコさん(40歳)

 なかでも印象的なのが、父親から「あまり綺麗なほうじゃないです」と言われたり、従姉妹の美少女・みほちゃんに「私の方が似合う!」と好きな色のポシェットを強奪されてしまうなど、幼心に美醜を意識したというエピソード。 「綺麗なほうじゃない」と自覚し、小・中学生時代にはいじめにもあったという川村さんは、そんな胸がキュッと痛むような記憶を、どう受け止めてきたのでしょうか? わたしもかわいく生まれたかったな

美人も不美人も人生ハードモード

――エッセイでは、幼稚園の頃にお父さんに「えみこちゃんはあまり綺麗なほうじゃないから、字は綺麗なほうがいい」と習字をすすめられるエピソードが衝撃的でした。 川村エミコさん(以下、川村):衝撃でしたか(笑)。でも、そう言われても、あまり落ち込むことはありませんでした。今は小さい頃に「あまり綺麗なほうじゃない」と知れてよかったなと思っています。 ――周りの人に容姿をけなされた経験から自信が持てなくなったり、生きづらさを感じている女性は多いと思います。川村さんはどうでしたか? 川村:私も容姿に関するコンプレックスはあったので、可愛くなりたくて努力していました。「二重になりたい!」と思ってアイプチしたけどまったく定着しなかったり、高校生のときは流行りのボディパーマをかけたら、好きな男の子に「下の毛みたい」と言われたり(笑)。声が小さいのを直したくて剣道部に入ったりもしました。コンプレックスにとらわれて身動きが取れなくなるのはもったいないと思います。可愛く生まれたとしても、人生大変なのは同じだと思うので。 ――美人でも人生イージーモードではないのでしょうか? 川村:美人にはその上の美人がいるし、「整形してるんじゃない」とか陰口を叩かれたり、生きづらいことはたくさんあると思います。みんな人生ハードモードなんです。それなら自分の持って生まれたもので「どうやって楽しく生きていこうか」と前向きに動いたほうがいいと思ってます。その意味でも、父が習字を習わせてくれたのは大正解でした。「字が綺麗だね」と褒めてもらえることが1つあると、それが心の支えになりました。

女芸人の容姿いじり、禁止ルールよりも大切なこと

_MG_1630――最近では女芸人に対する「容姿いじり」が問題視されるようになりました。川村さんはどう感じられていますか? 川村:私は芸人になったことで、周りに「アパ社長に似てる」と言ってもらえて笑いになることを「なんてありがたいことなんだ」と思っていたんです。芸人は「実は心の中で思っているけど言わない部分」を言ってもらえるので嬉しいんです。でも、それは言う人の心に愛があるのか、悪意があるのかによっても変わりますし、芸人同士なのか、悪口を言い合える関係性なのかによっても変わると思います。グレーな部分があるので、すべてをNO! OK!で決めつけないほうがいいかなと思います。 ――最近だと、あだ名が禁止を義務付ける小学校の報道がありましたね。 川村:あだ名をつけられて傷ついた子供の気持ちに寄り添って、ルールを作ることはいいと思うんです。でも、学校のルールは社会全体のルールではないので、小学校や中学校を卒業して、社会に出た後もあだ名をつけられる機会はあるでしょう。そのときの対処方法を教えてあげてほしいと思います。「うるせえ!」とはねのけるのか、ボケてノるのか。あだ名を受け入れることで前に進めるケースもあると思うので。  私も小2のときに、T君という男の子に「全然動かないから」という理由で「粘土」というあだ名を付けられました。でも私は全然嫌じゃなかったんです。T君は、私がいじめっ子に「鼻の穴に鼻クソいっぱい詰まってる」と言われたときに「そういう事いうな!」と庇ってくれたり、優しさがあったからだと思います。
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小・中学校のいじめで“潰されなかった理由”
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