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中村倫也は野生の動物!?自宅からのYouTube配信に見る生態とは…

野生の動物のような達観を感じる

 なにげない日常の記録の初回は5分18秒だったが、徐々に長くなって、4月28日の11回では17分越え、5月12日の22回では28分10秒も喋っていた。おそらくこれが29回までで最長と思う。  中村は動物が好きなのだそうで、動物の話になると長くなる。動物のどこが好きかという話はわりと乾いた人生観で興味深かった。たまに、人生観の話になるのだが、そうすると口調はちょっとだけしっかりする。  5月14日の25回は、自分は立ち直りが早いほうであるという話をしていて、感情が上がっても下がってもすぐにゼロ地点に自動的に戻るとか、状態をしっかり味わって栄養素にするとか、実に冷静なことを言っていた。  そういうことに対して、ここまでブレイクするまで苦労もあっただろうからなどと訳知りに分析するのも、それこそ余計なお世話だと思うが、若い男性俳優が実際ものすごくたくさん芸能界にいて、どうしたって役の取りあいになるわけで、どうしたら俳優として生き残っていけるか考えたとき、技術を磨くことは当然ながら、精神力をいかに鍛えるかが重要になってくると思うのである。  そういうとき、中村のような考え方になるのは当然の流れのような気がする。ただ、そう思ってもなかなかできるものではない。それを淡々と自分に言い聞かせてここまで来たのかなと思うと、毎日、さもほんわかした雰囲気で、おしゃべりと料理を繰り返しているなかに野生の動物のような達観を感じるのである。 「老境まんが」(ちくま書房)というアンソロジーのなかに入った永島慎二の「生命」という漫画は狼と猟師の戦いを書いたもので、ただただ本能のままに生きて戦う狼の姿が興味深く、中村倫也にこういう役(狼だけど)を演じてほしいと思った。

中村倫也イヤー2020、これから巻き返してほしい

 ドライだなと思うのは、料理コーナーでは、アサヒスーパードライ、ピエトロドレッシング、パスタソース・おうちパスタ、ブルボン ルマンド、ルマンドアイスとCM商品を徹底的に使用しているところ。こんなときでも(こんなときだからこそ?)クライアントの宣伝も忘れないのである。すばらしい。  5月2日の15回でピアノを購入。5月14日の25回でピアノ演奏を披露。5月13日の24回と5月15日の26回ではTシャツにプリントする道具を仕入れて、Tシャツやエプロンに文字をプリント。5月20日の29回はテーブルを作った(ものすごい音がうるさい)。  5月17日の27回では、フードプロセッサーを買おうか迷いながら、仕事再開したらそんなに料理できないからなと逡巡していたのに、いろいろ作業のできるテーブルは作ってしまう。テーブルを作りながらスリッパを脱ぎ、裸足の足をさらし、このスリッパ暑いと言っているところに、背景はずっと白い部屋の一角ながら、季節が着実に移り変わったことを感じさせた。そういうさりげない変化の見せ方もにくい。  そろそろ仕事も再開するだろう。中村倫也イヤー2020(勝手に呼んでるだけです)、これから巻き返してほしい。 <文/木俣冬> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
木俣冬
フリーライター。ドラマ、映画、演劇などエンタメ作品に関するルポルタージュ、インタビュー、レビューなどを執筆。ノベライズも手がける。『ネットと朝ドラ』『みんなの朝ドラ』など著書多数、蜷川幸雄『身体的物語論』の企画構成など。Twitter:@kamitonami
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