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孤独死は、死ぬ予定があるひと全員が関係ある話/カレー沢薫・自作解説

『負ける技術』『ブスの本懐』など人気作品の多い、漫画家・コラムニストのカレー沢薫さん。  35歳からの終活を描く新刊マンガ『ひとりでしにたい』も、雑誌連載当初から、「身につまされる」「終活についてマジメに考えるようになった」「30代以上は全員読むべき」と評判で、第1巻発売後も反響のある作品です。  ところが、発売から約1ヶ月半、カレー沢さんがTwitterで作品打ち切りの可能性について言及し、3.1万のフォロワーに衝撃が走りました。その背景には、なんとコロナ禍の影響があるようで…。  名作が終わってしまうのはあまりに惜しく、カレー沢薫さんご自身に作品解説をお願いした次第です。 (以下、カレー沢薫さんの寄稿です。)
カレー沢薫「ブスの本懐」太田出版

カレー沢薫「ブスの本懐」太田出版

自分の作品を自分で解説しろという仕事が来た

「作品解説をしてほしい」という仕事の依頼が来た。  作品解説とは、文字通り、「この作品のここが面白い」的な解説をしたり、口を極めて罵倒し作者やそのファンに殺害予告をされる仕事である。  以前にも作品解説の仕事をさせてもらったことはある。  私に頼む時点で売る気がないのかなと思うが、正直自分で作品を作るより、お他人様が作ったものにガタガタ言う方が労力的には楽である。  もちろん解説や批評の仕事が楽というわけではない、上記のように恨みを買うこともあるし、作品を正しく批評するには正しく理解する必要があるので、相当の理解力と知識がないと無理である。  バカにしたつもりで己のバカを露呈する可能性も高い、責任が重くリスキーな仕事なのだ。  今回解説させていただくのは「ひとりでしにたい」という漫画作品である。
著:カレー沢 薫 協力:ドネリー美咲「ひとりでしにたい1」 (モーニング KC)講談社

著:カレー沢 薫 協力:ドネリー美咲「ひとりでしにたい1」 (モーニング KC)講談社

 誰も知らないと思うので、説明させていただくが、まずこの作品の作者は「私」だ。  つまり自分の作品を自分で解説しろという仕事が来た、ということである。  そういうのは、普通他人やってもらうものではないのか。  しかし「自己PR」という言葉もある。 「恥ずかしい」というだけで自薦しても良いはずだ。  この「ひとりでしにたい」は今年3月に1巻が発売したのだが、今のところ2巻で終わる予定である。  これは想定通りの終了という意味ではなく、極めて良くない言葉を使えば「打ち切り」だ。

新刊発売からの1か月がコロナの影響にモロかぶり

 売れている作品の解説なら自著でも、時おり総金歯をのぞかせながら「こういう狙いがあったんですよ」と語ることができる。  では、打ち切りが決まりかけている作品を推せというのは「この死体の良さを説明しろ」と言われているようでツライ。  仕事を依頼してきた奴はそれを知っているのか、知っているならマルキド・サドの生まれ変わりすぎるし、知らなかったとしたら先を見通す力がなさすぎるので、その仕事向いてないと思う。  ただ、他人の仕事を心配している場合ではない、己の仕事が今まさにピンチだ。
(画像:マルキ・ド サド , 渋澤 龍彦 (翻訳)「新ジュスティーヌ」河出文庫 河出書房新社より)

サディズムという言葉は、マルキ・ド・サドの名に由来する(画像:マルキ・ド サド, 翻訳・渋澤 龍彦 「新ジュスティーヌ」河出文庫 河出書房新社より)

 だが、言い訳させてほしいが、この本が出たのは「3月23日」である。  この日にちを聞けばピンとくるだろうが、もちろん黒沢明監督の誕生日だ。  そして、コロナウィルスによる緊急事態宣言が出される割と直前である。  それ以前からも外出は自粛されており、大型書店も休業していたりした、さらに頼みの綱のネット通販も日用品優先で、本は在庫がなくなっても追加納入を受け入れてもらえず、ネットでも買えないという状態だった。  つまり新刊にとって最も大事と言われる発売からの1か月がコロナの影響にモロかぶりしたということである。  故に、重版ラインに届かず、終了を示唆された、という設定だ。

「なるようになる」と考えてしまうのが「老後」そして「死」

 正直、コロナがなければ続けられたかはわからない、コロナの中でも売れている本はある以上普通に同じ結果だった可能性はあるが、だからと言って全く同じ結果とも思えないので、あきらめがつかなくて困っている、という状態だ。  よって今からでも、連載継続できないかとあがいているし、それに賛同して、わざわざ本屋に行って本を買ってくれた読者もいるので、自分もこんなSMクラブ常連が思いついた変なプレイみたいな仕事でも、宣伝になるなら断るわけにもいかない、と思った次第である。  依頼が異常すぎて前置きが長くなってしまったが「ひとりでしにたい」のテーマは「孤独死」「老後」「終活」そして「猫は神」である。  猫以外テンションが上がる要素が一つもないと思うかもしれないが、私もそう思う。  しかし、テンションが上がらない故に目を逸らし「なるようになる」と考えてしまうのが「老後」そして「死」なのだが、目を逸らすとなるようにならない可能性が高いのだ。
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