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木村花さん急逝で考える、ネットで中傷された時「真っ先にすべき事」とは

 プロレスラー木村花さん(享年22)が亡くなった事件を受けて、いま大きな問題となっているSNS上での誹謗中傷やデマ。  前編の「投稿者を特定するための手続きが大変!」のパートで解説した、なかなかに大変な情報開示請求の権利を定めたのが「プロバイダ責任制限法」という法律です。木村花さんの事件を受けて、この法律についての改正論議がにわかに起こっています。
 本来であれば、リテラシーとかマナーといったもので、ネット上の悪意がなくなるのが理想なのでしょう。しかし、もはやそうもいっていられないのかもしれません。 誹謗中傷されたら、真っ先にすることは「スクリーンショットを撮って、1日も早く動くこと」。くわしくは後半で解説しますが、まずはいま議論されている「法改正」について聞きました。

法改正の難しさ。かんたんに開示請求できてもこわい

 法改正について小沢弁護士は、「個人的には、『権利侵害の明白性』という開示請求の要件自体はこのままでいいと思う」といいます。 「この要件を低くしてしまうと、今度は権利侵害といえるのか疑問なレベルの些細なことで開示請求をするケースが増え、開示請求の濫用を招くと思うからです。また、開示請求をめぐっては、書き込みをされた側の〈名誉権〉や〈プライバシー権〉などの利益と、書き込みをした側の〈表現の自由〉や〈プライバシー権〉〈通信の秘密〉などの利益が対立します。どちらも憲法上認められる権利なので、片方だけ有利に扱うことはできません」  たしかに、小さなことでもかんたんに開示請求ができてしまうと、それはそれでこわいかも。
オンラインの個人情報保護

写真はイメージです(以下同)

「些細ないい争いの延長で、片方の発言が多少過激になるようなことはよくあることです。そのような場合に言葉尻をとらえ、いわれた側が被害者としての立場を強調し、周囲の同情を誘いつつ開示請求をして、いった側の個人情報をインターネット上で公開し、同情した人たちと一緒になって袋だたきにする、ということも起こると思います。  先に手を出したのは相手だ、相手は悪だ、悪は懲らしめなければならないといった歪んだ正義感から歯止めがきかなくなり、いった側の権利を大きく侵害する結果になることもありうると思います」  小沢弁護士自身、現に、そういう行動に出ようとする人を何度か見たことがあるそうで、「そうした事態を招く可能性のある改正はすべきではない」といいます。

手続の時間を短縮と、確実な開示のために

「現状おかしいと思うのは、①ログ保存期間が短すぎて、手続に要する期間の点で開示にいたらないことがあること、②ログインをしたときにログを保存するSNS等では、法律要件の関係で裁判所によっては開示を認めない判決を出すことがあること、③複数回裁判をしなければならない関係で、依頼者の時間と費用の負担が大きいことです。いずれも制度上の問題であり、これらの点は改善できるのではないかと思っています」  小沢弁護士が提案するのは、「手続に要する時間を短縮しつつ、きちんと手続をすれば確実に開示が受けられる制度づくり」。具体的に以下の5点をあげてくれました。
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小沢弁護士が提案するポイント5点
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