写真はイメージです(以下同じ)
佐々木佳奈さん(仮名・26歳)は、劇団員をしながら美術モデル(美大やカルチャーセンターで、絵画や彫刻のモデルとしてジッとポーズをとるお仕事。ヌードの場合も多い)で生計を立てながら生活しています。
「ある日、カルチャーセンターのデッサン教室からお呼びがかかって行ってきたのですが…生徒さんがおじいさんおばあさんばかりなクラスで、穏やかな雰囲気が心地良くて、スゴく仕事がしやすかったんですよ」
仕事が終わり、カルチャーセンターの前にあるバス停で最寄り駅まで行くバスを待っていると…。
「さっきまで一緒だった、生徒のおばあさんのひとりに『お疲れ様。よかったら駅まで一緒にお話ししながらいかない?』と声をかけられたのでOKしたんですよ」
2人がけの席に一緒に座ると、バスが走り出しました。
「するとそのおばあさんが、周りの乗客に丸聞こえの大きな声で『あなた人前で裸になれるなんて、スゴいわね!うちの孫なんて普通の子だから絶対にそんな事できないわ、あなたは普通じゃない!』と言ってきて、ビックリしてしまって」
周りの乗客に、ニヤニヤしながらチラ見される佳奈さん。
「『事務所が紹介してくれた安心できる所でだからできるんですよ』とか『美術の勉強のお役に立ちたいので』と言って納得してもらおうとしたのですが、全然ダメでした」
その後も、新たにお客さんが乗ってくる度にその話を大声で繰り返し…ウンザリした佳奈さんは“もしかしたら、このおばあさんはこうやって自分に嫌がらせする事で、ストレス解消しているのかも”と感じたのだとか。
「何が『普通じゃない』だよ!こっちからしたら、そんな事を大声で言われるのはセクハラだし…非常識ですよね?普通じゃないのはそっちだろ?と思いました」
それから、同性だろうがお年寄りだろうが心が許せなくなってしまった佳奈さん。
「なんであのおばあさんが、あんな事を言ってきたのか本当のところは分かりませんが…私が傷ついたのは確かです」
「はやく美術モデルをしなくても食べていけるようになりたいですね」とため息をつく佳奈さんなのでした。
<文&イラスト/鈴木詩子>
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鈴木詩子
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:
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