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離婚した妻が包丁を手に「金貸せーっ!」。ホラーのような離婚劇の結末は…

ぼくたちの離婚 Vol.16 因果応報なき世界 #2】  映像関係の会社に勤める筒本望さん(仮名/43歳)は、30歳の時に亜子さん(仮名/当時27歳)と出会う。パニック障害を患う亜子さんは結婚後に仕事を辞め、その後浮気に走るが、「あなたに離婚されたら死ぬ」と錯乱(詳しくは前編「「妻が風呂に有毒ガスを…」殺しあう寸前までいった夫婦の悲劇」を参照)。意を決した筒本さんは弁護士に相談した。

100万円払って離婚してもらう

「弁護士に、どうやったらこのヤバい奴と手が切れるのかを教えてくださいと、単刀直入に言いました。自分の保身が第一です。……卑怯とでもなんとでも、言ってください」  筆者が「保身とは……」と質問しかけると、筒本さんは食い気味に答えた。 「もし配偶者に自死されたら超面倒でしょ? 自死しないにしても、病気に苦しむ人間を見放したら見放したで、世間から責められるのも、良心の呵責に苦しむのも、僕です。どっちにしろ僕が損する。“勝ち”はないんです。だったら、ダメージを最小にする権利くらい行使させてほしい」  そうですね、としか言いようがなかった。 「すると、弁護士から『筒本さん、お金払っちゃいましょう』と言われました。浮気したのは向こうなのに、なんで僕が? と思ったんですが……」
写真はイメージです

写真はイメージです(以下同)

 要は、100%筒本さんに養われている亜子さんは、離婚すれば生活が立ち行かなくなる。だが再就職は病気のこともあって難しい。「離婚したら死ぬ」は「離婚したら(経済的に)死ぬ」の意味でもあるのだ。であれば、当座生活に困らない現金を渡せば離婚を承諾してくれるのではないか。弁護士はそう踏んだわけだ。とはいえ、筒本さんが亜子さんに100万円を譲渡する義理などない。 「最初に100万円払い、毎月2万円ずつ分割で返してもらうよう提案してみては、と言われました。公正証書にその旨を記し、ハンコさえもらってしまえばこっちのものだと。奥さんは冷静な判断ができなくなっているから、飛びつくんじゃないですか? と」  筒元さんは「そんなにうまく行くだろうか?」と半信半疑で、おそるおそる亜子さんに提案してみた。 「冗談みたいに簡単にハンコをついてくれましたよ。お金用意してくれるなら離婚してもいいよ、って。心底、呆れました」  併せて離婚届も提出した。ところが、亜子さんは一向に家を出ていかない。公正証書に「退去期限」を明記していなかったのだ。

大晦日の胸騒ぎ

「亜子は『バイトを決めたら出て行く』と言っていましたが、何日経ってもなかなか出ていかない。また喧嘩の日々です。ただ、その時住んでいたマンションが僕の実家の近くだったので、亜子と顔を会わせて嫌な気持ちになるよりはと、僕は実家から会社に通勤するようにしました」  そうして何週間かすぎ、ようやく亜子さんは筒本さんに鍵を返却して家を出た。 「亜子が家を出たのが年末だったので、僕はマンションに戻らず、そのまま実家に居続けて正月を迎えようとしました。別れられてよかったねと母親と話してたんですが、なんだか胸騒ぎがしたので、12月31日の夕方に、実家の犬を散歩がてらマンションに行ってみたんですよ」  亜子さんが出て行ったドアの前に立った筒本さん。ドアに手をかけると、なんと鍵がかかっていない。意を決してドアを開けた。
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真っ暗な部屋に、“幽霊”が…
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