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大反響コミック『妻が口をきいてくれません』作者に聞く。妻が夫を“あきらめていく”理由

亀山早苗の恋愛時評> 「よみタイ」というサイトで連載され、集英社より11月26日刊行予定のコミックエッセイ『妻が口をきいてくれません』が話題になっている。
野原広子『妻が口をきいてくれません』より

野原広子『妻が口をきいてくれません』より

 著者は、野原広子さん。『離婚してもいいですか? 翔子の場合』『消えたママ友』(KADOKAWA)などで、妻であり母である女性たちの心理をえぐり出し、多くの女性たちの共感を得ている。  今回は、「もう3日も妻が口をきいてくれない」という夫の告白から物語が始まる。何か言って怒らせたのかと夫は考えるが、もちろん妻の心をそれほど深く斟酌しているわけではない。夫婦ならよくある話と読み進めていくと、妻が口をきいてくれないのは6年にも及んでいくことがわかり背筋がすうっと寒くなる。  そもそも、野原さんはなぜこういったストーリーを考えたのだろう。野原さんに話を聞いた。

夫婦仲が良さそうな男性が「うちは長い間、口をきいていないんだ」

〈私自身、1年ほど前に離婚したんですが、そうしたら知り合いから結婚生活についての話を聞く機会が増えまして。  ある知人男性が、『うちは長い間、口をきいていないんだ』と。その夫婦は仲が良さそうに見えていたのでびっくりしたんです。さらに驚いたのは、彼が妻に『離婚しよう』と言ったら、『私はまだ好きなのに』と言われたんですって。  そのときは、私は妻の気持ちがわからないなあと思ったんですが、今回、『妻が口をきいてくれません』を描きながら、少しだけわかりつつあるような気がしています。たぶん、奥さんはかまってほしいんですよね。そういう話や他に自分が見聞きしたエピソードなどがモチーフになっています〉(野原広子さん 以下ヤマカッコは同じ)
野原広子『妻が口をきいてくれません』より

野原広子『妻が口をきいてくれません』より

「『男もつらいんだな』と思うようになりました」

 結婚生活は日常そのもの。子どもがいれば、「親」という責任の重い立場でもある。配偶者に「自分を見てほしい」「かまってほしい」とストレートには言えなくなっていく。男性であれ女性であれ、不仲というわけではなくて関係がねじれて固定化してしまうことは多々ある。  媒体上、女性のみならず男性からもよく読まれているそうだ。妻が口をきいてくれなくて、心をえぐられている夫たちも多い。女性たちからは、「私も夫に恨みがある」という声も。 〈私は結婚しているとき、夫が大嫌いなんて思っていたんですが、読んでくださっている方たちの声を聞くと、『男もつらいんだな』と思うようになりました〉
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妻は夫を「あきらめていく」
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