Entertainment

木村佳乃『恋する母たち』の落とし穴みたいな恋。心の隙間が大きいほどハマる

 木村佳乃主演の連続ドラマ『恋する母たち』(TBS系、金曜午後10時~)が10月23日から始まりました。木村が吉田羊、仲里依紗とともに、どんな「母たち」を演じるのか――話題の本作を、男女関係や不倫事情について長年取材し著書多数のライター・亀山早苗さんが読み解きます。これを読めば、2話からでも十分に楽しめるはず!(以下、亀山さんの寄稿)

「恋する母たち」は、「恋する妻たち」ではない

『恋する母たち』

画像:TBS『恋する母たち』公式サイトより

 柴門ふみさん原作・大石静さん脚本のドラマ『恋する母たち』が始まった。3人3様の環境にいるが、息子たちを同じ私立有名進学校に通わせる「母たち」が、それぞれに恋をする物語だ。  不倫を推奨するのかという声が上がるのは想定内のことだろう。  30数年前のドラマ『金曜日の妻たちへ』(TBS系)を持ち出す感想まである中、やはり「妻」が恋をするのではなく、「母」が恋をすると宣言してしまうところに、ある意味での女性の進化を感じるし、逆にいえばそこを叩かれてしまう今の時代の息苦しさがじわりと滲(にじ)む。  つまりは、妻も母も「役割」でしかなく、その役割を担っているのは、ひとりの女そのものなのだ。

「人は怒ると、性欲が高まるみたいだ」

 石渡杏(木村佳乃)は、夫の慎吾にいきなり失踪される。その後、「うちの妻があなたのご主人と駆け落ちしました」と登場するのが斉木巧(小泉孝太郎)。最初のうち、彼女は「心につきささる好きという感情」を夫に抱き続け、駆け落ちを認めようとしない。だが斉木に、「この世でいちばんの由香へ」と書かれたハガキを見せられ、それが海外出張のおりに「この世でいちばんの杏へ」と夫から来たのと同じ絵はがきであることを確認した杏は、斉木の胸で初めて泣き、流れで関係をもってしまう。
「人は怒ると、性欲が高まるみたいだ」  杏のこのひと言が興味深い。自分の夫が駆け落ちした女性の夫と、復讐のように関係をもったと受け止められるかもしれないが、おそらく彼女は誰でもよかったのだ。高まった性欲を満たしてくれるのが、たまたま目の前にいる「同じ傷をもつ人」だっただけ。男女はそんなことで関係をもつこともあり得る。人肌でしか癒やせない傷もある。いや、傷は決して癒えないのだが、それでもあえて人肌を求めざるを得ないことがあるのだろう。
次のページ 
タワマン住みのセレブ妻が抱える孤独
1
2
3
Cxense Recommend widget


あなたにおすすめ