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『鬼滅の刃』は今からでも見るべき?大人も夢中になる理由

 今や社会現象といってもいい『鬼滅の刃』。『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の興行収入は275億円(11月30日時点)、歴代映画で『千と千尋の神隠し』に次ぐ第2位の好成績を記録している。この大ヒットは、暗い話題ばかりが目立つ昨今において、久しぶりに世間を賑わせた明るいニュースだ。  でも、世間の盛り上がりとは裏腹に「まだ鬼滅を見ていない」勢も少なくない。ファンに無理やり勧められて辟易する人たちも現れ、ついには「キメハラ」(鬼滅ハラスメント)なんて言葉も生まれてしまった。  では、改めて問いたい。なぜ人はここまで“鬼滅”に魅了されてしまうのか。

今からでも遅くない、『鬼滅の刃』を見てほしいという人の声

鬼滅の刃

©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

 「もしつまらないと思ったら謝りに行きます」とまで豪語した、オタク芸人として深い知識を持つ天津の向清太朗氏は次のように語る。 「単純に面白い話であることがベースにありますが、我々のような40代以上にも刺さったというのは、古き良き少年ジャンプのベストアルバム的な部分が大きいのではないかと思います。バトル、仲間、主人公より強い者たちの存在、確定的なボスキャラ。物語としてわかりやすい上に、子供たちがワクワクする要素がすべて詰め込まれているんですよ。こういう作品は意外とこれまでなかったような気がしますね」  念のため書いておくと、『鬼滅の刃』の原作は、単行本の累計発行部数が1億部を突破した、吾峠呼世晴による『週刊少年ジャンプ』の漫画。時は大正時代、家族を鬼に殺された少年が、鬼になった妹を人間に戻すために、鬼殺隊に入隊する。人間と鬼との、激しくも切ない闘いの物語だ。

描かれているのは現在のリアルなコミュニケーション

鬼滅の刃

写真はイメージです(以下同)

 加えて、サブカルチャーを研究し、ゾンビ学でも知られる近畿大学准教授の岡本健氏は「絶妙なリアリティ」をその魅力の一つとして挙げている。 「舞台は大正時代だし、内容はファンタジーなのにそこに描かれているのは現在のリアルなコミュニケーションなんです。例えば、優しい性格の主人公・竈門炭治郎(かまど たんじろう)、引っ込み思案な我妻善逸(あがつま ぜんいつ)、猪突猛進の嘴平伊之助(はしびら いのすけ)によるチームの在り方。最初、彼らはまったく統制が取れていなかったのに、互いが関わっていく中で少しずつ変わっていきます。  しかしその変貌の仕方はキャラの個性の否定ではなく、その人を受け入れるという形です。自己変容、他者変容が実にリアルなんですよね。とはいえ、現実の世界においては結果的にわかり合えないことも多いと思います。だからこそ彼らの関係性は、今求められている極上のフィクションとしてプラスの魅力になっているんでしょう」
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「ただ倒せばいい存在」ではない悪役の描かれ方
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