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実力派男優がつらかった子供時代を告白「今でも人に心が開けない」

 栄えある賞の受賞式に“タキシードドレス”や“子宮ドレス”などの型破りな衣装で登場し、世間の注目を一身に集めたビリー・ポーター(51)。一方で『キンキーブーツ』でのドラァグクイーン役をはじめ舞台を中心に活躍し、歌って踊れるマルチタレントとして、近年高い評価を受けている。今では唯一無二の存在として親しまれているビリーだが、少年時代はトラブル続きで、「仲間から拒絶されたこともあった」と告白している。

夫にも心が開けない。“無条件の愛”を知らないから

ビリー・ポーター

ビリー・ポーター

 このたびイギリスの新聞『ガーディアン』のインタビューに応えたビリーは、幼い頃の壮絶な経験が自分に与えた影響について語っている。  少年時代に義理の父から性的虐待を受けていたと過去に告白しているビリー。今回のインタビューでは、そうした波乱に満ちた幼少期が、現在の自分に依然影響を与え続けていると明かす。 「無条件の愛の受け取り方を把握しようとしている。一度もそれを受け取ったことがない人間には至難の業さ。だから何とかそれに向かって進もうとしているんだ」  今まで経験したことがない無条件の愛をどう受け取ればよいのか、戸惑っているというビリー。2017年には同性パートナーのアダム・スミスと結婚しているが、夫にも自分の心を開くのが難しいと話す。
「信じるかはさておき、僕は他人との関係の中で感情を抑え込む。パートナーともしっかり話せないんだ」  幼い頃の出来事がいまでも人生に暗い影を落としているというビリー。親との関係については、このように語っている。 「親との関係で心がけているのは、許すこと。これはもう、かなりできるようになったと思う。母親はニュージャージーの老人ホームに住んでいる。彼女は僕の人生における最愛の人。でもとても悲しいことに、彼女は変性疾患を抱えている。僕は成功を収めているけど、一緒にそれを楽しむこともできない」

「君は決して祝福されない」仲間から拒絶された苦い思い出

 またゲイというセクシャリティにより、少年時代に教会仲間から拒絶されたこともあったというビリー。その苦い思い出に今も苦しんでいると明かす。 「若い頃、僕の教会のコミュニティからゲイとして生きる選択をするかぎり、君は決して祝福されないだろうって言われたんだ。でも誰もが知っているように、セクシャリティというのは選択ではない。生まれ持ったありのままの姿なんだ」 「最も初期の思い出は、アセンション・バプテスト教会での5歳か6歳の時のもの。すでに僕はあまり男性的でないと問題視されていた。ただ僕が歌い出すと、大人たちの目の中にあったその恐れが消え去ったんだけどね」

奇想天外なファッションの裏に隠された強い思い

 自分の仲間から拒絶されたことが「つらかった」というビリーだが、自分の親でさえ“男の子らしくない”息子を心配していたという。そのため、5歳という幼いころから、専門家のもとで精神療法も受けさせられたと明かしている。そうした経験から「男らしくない自分を治さないといけない」という思いをずっと抱え、そのあげく自分を枠にあてはめようとする人々に殺意を抱いたこともあったそうだ。  ところが、ある日テレビで対談番組を見ていたときに「問題なのは、自分に正直に生きていないことだ」と気がついたという。そんなビリーは「人々に影響を与え、変化を生み出す存在になる」と決意し、個性的なファッションで自己表現するように。
 2019年にはアカデミー賞にタキシードドレス姿で登場し話題を独占したが、その背景には長年の苦しみ、そしてそれを乗り越えようという強い思いがあったのだ。 “男女”という枠にとらわれず、自分の個性を表現する大切さをアピールしているビリー。2019年6月に行われたトニー賞でも“子宮ドレス”で登場し、話題をさらった。
 このドレスは、中絶禁止への反対を表明するために着用したもの。米各地では当時、妊娠中絶を禁止する法案が次々と可決されていたが、ビリーはこの法案に異議を唱え、女性の権利を守るため子宮の形が刺繍されたドレスをあえて着用したのだ。  一見ド派手で風変わりに見えるビリーだが、これからはそのファッションに込められたメッセージにも注目しながら、楽しみたい。 <文/BANG SHOWBIZ、女子SPA!編集部>
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