産後すぐガールズバーで働く妻。怪しいカネづかいに夫の決断は…
【ぼくたちの離婚 Vol.18 パパはナンパ師 #2】
【前回までのあらすじ】
ナンパが趣味の大平正太さん(仮名/30代)は、趣味で書いていた釣りのブログ宛てにメッセージを送ってきた当時10代の少女ナオミさんと、遠距離交際をスタート。彼女はDV父親と貧困家庭から逃げ出したいがために、正太さんとの子作りと結婚を望んでいた。10代とはいえ、法に触れる年齢ではなかったが、あまりの若さにそれを長らく拒んでいた正太さん。しかし……
「映画の『美女と野獣』を観に行ったら、子供が欲しくなっちゃったんですよ」
ここで言う『美女と野獣』は、1991年公開のディズニーアニメ版でも、2017年公開のハリウッド実写版でもない。2014年に公開された、フランス・ドイツ合作による実写映画(監督:クリストフ・ガンズ、主演:レア・セドゥ)だ。
「有名なアニメ版やハリウッド版と違って、すごく暗い映画なんですよ。なぜ王子から野獣になったのかの理由を、過去の回想で詳しく描いてるんです。で、その王子がまだ人間だった頃、『世継ぎが欲しい』みたいなことを言っていて、ああ僕も子供が欲しいなあと」
この映画は取材後に筆者も観てみたが、正直、正太さんの言葉はピンと来なかった。むしろ気になったのは、ラストで野獣と結ばれる女主人公・ベルの家庭環境の酷さだ。裕福な商人だったベルの父親は没落し、一家まとめて貧乏のどん底に叩き落される。ベルには3人の兄と双子の姉がいるが、末の兄を除いては富に執着し続ける醜悪な人間性の持ち主。彼らはベルの足を引っ張っている。
貧困家庭育ちのナオミさんと、父親がリストラされて大学を辞めなければならない危機に陥った正太さん。それぞれの状況が、この映画にうっすらオーバーラップした。
「ナオミの父親は、ナオミがXX歳(筆者注:本稿では伏せる)になるまでは結婚を許さないと言っていて、当時のナオミはまだその年齢に達していませんでした。だけど、先に子供を作って既成事実を突きつければ、彼も結婚を認めざるをえないだろうと、僕らは考えたんです」
妊活をはじめて3ヶ月で、ナオミさんの妊娠が発覚する。10代の母だ。
「心から子供が欲しかったので、『よしっ』とガッツポーズしましたね。そこで初めてうちの親にナオミのことを報告したら、相手の年齢に呆れてはいましたが、一応認めてくれました。ナオミの父親も『がんばれよ』と」
結婚式はしなかったが、婚姻届を提出し、ふたりは晴れて夫婦に。ナオミさんはついに実家を抜け出すことができた。しかし、正太さんに安寧は訪れない。
『美女と野獣』を観て子供が欲しくなった
