Gourmet

50年の歴史を持つ洋食屋の看板メニュー「豚の生姜焼き」の秘密

 街角にひっそりと佇む昔ながらの洋食店。どんな街にも当たり前のようにある光景が、今、少しずつ姿を消しつつある。そんな町洋食の語り尽くせない本当のスゴさに迫る――。

何を食べてもごはんがうまい繁盛店の成り立ち

町洋食

現在、チーフを務める義彦シェフ。調理スペースは最小限で、仕込みは2階で行っている

 大塚駅前、商店街の一角に佇む「洋食GOTOO」。この店を初めて訪れたときのことを私はあまりはっきり覚えていない。ただそのとき、店を後にして駅に向かう道すがらに「久しぶりに本当にうまいごはんとみそ汁と漬物を食べたなぁ」としみじみ思ったことだけをはっきりと覚えている。  その印象で上書きされたのか、メインに何を選んだかは記憶にないのだ。GOTOOのオーナーシェフ後藤義彦さんにそれを正直に話すと、みるみるその相好を崩し「私も常々それが洋食屋にとって一番大事なことだと思っています」と弾むような声で言った。  メインは記憶にない、と書いたがここは何を食べてもおいしい店だ。「おいしい」にもいろんなタイプがあるが、この店の場合「丁寧」「緻密」「完成度」「バランス」といった言葉でそれは表される。なおかつボリュームがあり盛りつけもみずみずしく立体的で美しい。洋食店の、いやすべての飲食店のお手本とでもいうべきクオリティの高さである。  だからこの店は商店街でも随一の繁盛店で、明るく清潔な店内は、老若男女、実に幅広い客層で毎日いっぱいだ。

ルーツは戦後の屋台から始まった飴屋

町洋食 そんな現代的なしつらえの印象に反して、GOTOOは49年の歴史を誇る老舗である。創業者は後藤シェフの父である後藤真男さん。  そして、後藤家の商売のルーツは戦後の屋台から始まった飴屋だ。飴屋は当たりに当たり、一時期は都内で14店舗もの支店を構えた。当時日本に3台しかなかったハーレーダビッドソンに跨った創業者の写真が新聞に載ったのもその頃だ。  しかし、世の中が豊かになりさまざまなお菓子が増えてくると次第にその商売は立ち行かなくなる。「これからは洋菓子の時代だ」ということで真男さんは洋菓子店での修業を経て、開店準備に入るが、そこに飛び込んできた最悪の知らせ。  それはすぐ近くに「洋菓子の不二家」が開店するらしいというものだった。当時の不二家のステータスの高さといったら大変なもの。生半可な洋菓子修業では太刀打ちできるものではない、と冷静に判断した真男氏は、急遽方針を変え改めて洋食の修業に入った。
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一流フランス料理店出身のシェフに師事
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洋食GOTOO
東京都豊島区南大塚3-54-1
11~14時、17時30分~20時(ラストオーダー)※水曜はランチのみ、日曜祝日定休
現在の店舗は’01年に改装。イタリアンレストランを思わせるスタイルに

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食べログ3.7以上の店を経営するプロも唸った! 有名チェーン絶品メニューのカラクリを明かす


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