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6か月の赤ちゃんまでレイプ被害に。コンゴ人女性の性被害が“遠い話”ではない理由

 3月18日から21日まで渋谷・ユーロライブで開催される「TBS ドキュメンタリー映画祭」では、国内外のさまざまな問題に真正面から向き合った珠玉の22作品が一挙に公開されます(オンライン配信でも視聴可能)。
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婦人科医デニ・ムクウェゲ医師(右)

 そのなかでも、女性が観るべき1本は『ムクウェゲ「女性にとって世界最悪の場所」で闘う医師』。舞台となるコンゴ民主共和国では、武装勢力による性暴力があとを絶たず、生後6か月の乳児から90代の女性まで、実に40万人以上が犠牲になったと言われています。そんななか、本作ではこの過酷な現状に立ち向かう婦人科医デニ・ムクウェゲ医師に密着。  今回は、立山芽以子監督に現地の様子や日本人にも関わりのある問題について語ってもらいました。

コンゴ人の血で汚れた私たちのスマホ

――まずは、このテーマに取り組むことになったきっかけから教えてください。  ムクウェゲさんとの出会いは、2016年に初めて来日されたとき。私は以前からアフリカに関する取材をしていたこともあり、アフリカの研究者やNGOに友達がいたので、彼女らから教えてもらって取材をしたのが最初でした。 ―――その時点で映画にしたいと思われていましたか?  それはまったくありませんでした。というのも、海外報道というのは難しいところがあり、戦争や大災害、大事故といった、いわゆる刺激的なニュースでないと取り上げられないところがあるので、10分ほどの企画を通すだけでも本当に大変なこと。周りからも「この人は誰なの?」とか「やる意味あるの?」といった声が上がったほどでした。  日本ではアメリカや中国、韓国のニュースはよく報道しますが、アフリカや中東は地理的に遠いこともあり、後回しになりがちなんです。 ――そんななか、どのようにして企画を通すことができたのでしょうか?  コンゴで大変なことが起きているというだけの話ではなく、実はその背景には普段自分たちが使っているスマホのもとになる鉱物資源の問題があるということ、つまり日本にも関係のある話なんだということを前面に出して何とか放送にこぎつけた感じです。  放送後には、自分たちのスマホがこういう女性たちの犠牲のもとに作られていることを初めて知ったという方々から、大きな反響がありました。 ――映画の中でもムクウェゲさんが「私たちのスマートフォンはコンゴ人の血で汚れている」と発言していましたね。そういった放送後の反響があったからこそ、現地でも取材することができたのですか?  コンゴまで取材に行くのはお金がかかるので、通常なら許可が出にくいところなんですが、後押しとなったのは、2018年にムクウェゲさんがノーベル平和賞を受賞したこと。それがきっかけで了承をもらうことができ、2018年の11月にコンゴまで取材に行くことができました。

性被害を受けても立ち上がろうとする女性たち

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立山芽以子監督

――実際に現地で起きていることを目の当たりにしたときは、どのように感じましたか?   被害にあった女性たちの話はもちろんですが、そのほかにも鉱山や武装勢力の元兵士たちのことを詳しく知ると、そんな簡単な問題ではないんだなということに改めて気付かされました。 ――レイプの被害者である女性たちにインタビューを行っていますが、同じ女性として取材することの難しさを感じることもあったのではないでしょうか?  申し訳ないと思いつつも、話を聞かなければ伝わらないので。すごくデリケートな質問をしなければいけないときもあり、本当に嫌な仕事だなと思うこともありました。ただ、彼女たちが勇気を振り絞って話をしてくれたんだから、これはきちんと伝えなきゃいけないなという気持ちのほうが強かったように感じています。  取材中は病院の精神科医の方々にも入っていただき、様子を見ながら話を聞いていくようにしたので、こちらが一方的に進めることがないようにだけは心がけました。
メイキング写真

インタビューに応じた女性と立山監督

――つらい経験をしながらも、再び立ち上がろうとする女性たちの姿から学んだことがあれば、教えてください。  あんなにひどい目に遭っているのに、それでもお互いを思いやったり、助け合ったり、子どものことを気に掛けたりする彼女たちを見ていて、なんて人間らしいんだろうと。私自身、そういう姿から学ぶことはたくさんありました。あとは、悲惨な経験をしてきた女性が、病院で暮らしながら看護師になるという目標を見つけ、新たな道に歩き出そうとしている様子も非常に印象に残っています。
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レイプ加害者へのインタビューも
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