突然「30分後に友達つれて帰るわ」と夫。産後の妻が夫を怒鳴りつける瞬間
「子どもを産んだら、夫のことが“無理”になった」――産後に夫婦関係が悪化する例は、非常に多いと言われています。
「最も支えてほしい時期に助けてもらえなかった。その経験は妻の心に根深く刻まれ、その後の結婚生活に重大な影響を与えることが少なくありません。大切なのは産後の3年以内です」と語るのは、産婦人科医で『知っておくべき産後の妻のこと』(幻冬舎刊)の著者・東野純彦さん。
産後の夫婦のすれ違いはどのようにして起きるのでしょうか。男性や出産前後の夫婦が「産後クライシス」について理解を深めるための本書から、夫婦円満のヒントを読み解きます(以下、同書より抜粋・再構成)。
女性は、常に人からどう見られるかを気にしています。そのため急な訪問を嫌います。部屋が少し汚れている、洗濯物が干されているなど、男性からすれば「別に気心が知れた仲だったらこれくらい見せてもいいじゃないか」と思うようなところでも、「完璧に見られたい」という気持ちが働く人がほとんどです。
●事例 同僚に子どもを見せたかっただけなのに……
竹下さん夫妻に子どもが生まれたのは結婚5年目、二人が34歳のときでした。待ちに待った子どもだったので、夫の隆さんはうれしくて周りに自慢したくて仕方がありません。
ある週末、外出していた隆さんは偶然、近所で友人と出くわしました。会うのは結婚式以来です。お互いの近況報告などを話しているうちにテンションが上がった隆さんはつい、
「時間があるんだったら、子どもを見に来いよ」と誘ってしまいました。
もちろん、何の前触れもなくいきなり友だちを連れて帰ると困るだろうと思い、妻の裕美さんに電話をしてワケを話します。
「今さ、たまたま近くで友達と会ったから、家に呼ぼうと思うんだけど良い? お前も前に結婚式で会ったことあるだろ?」
確かに裕美さんとも面識はありましたが、一言二言、会話をしたことがある程度です。
「えっ、今から? 家片付いてないよ」
裕美さんは明らかに困った様子。しかし、テンションが上がっている隆さんは気づきません。
「大丈夫、大丈夫。あいつ、そんなこと気にするタイプじゃないから」
「……来てもらっても、何もおもてなしできないし」
裕美さんの声はだんだん元気がなくなっていきます。それでも、隆さんのなかでは「友人を呼ぶ」という選択肢以外ないため、強引に話を進めます。
「問題ないよ。あいつと俺の仲だし。それに、酒とかつまみなら途中で買って帰るから、お前は何もしなくて大丈夫」
「あなたはそれで良いかもしれないけど……」
決して友達を連れてきてほしくないわけではなく、裕美さんにも心の準備や時間が必要なのです。ただ、それを今伝えるべきかどうかを裕美さんは考えていました。しかし、隆さんは裕美さんの次の言葉を待つまでもなく、
「じゃ、あと30分くらいで着くと思うから!」
と明るい声色で言うと、電話を切ってしまいました。
「ちょっと!」

写真はイメージです(以下同じ)