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山田孝之が語る芝居論「その役の記憶を作って、人生を作っていく」

 1999年の俳優デビュー以降、第一線を走り続けている山田孝之さん。近年はプロデューサー業や監督業でもその才能を発揮しています。そんな山田さんの主演映画『はるヲうるひと』が公開中です。
山田孝之、「俳優は、1年365日じゃない生き方をしている」

山田孝之さん

 俳優の佐藤二朗さんが主宰する演劇ユニット「ちからわざ」が、2009年に初演した舞台を、佐藤さんが監督した映画です(脚本と出演も)。売春宿が点在する島で暮らす3兄弟を中心に、行き場のない思いを抱える登場人物たちの姿を見つめた本作で、山田さんは長男(佐藤)の子分のように生きている次男の得太を演じています。  「100%得太でいる状態を維持していた」という壮絶なクライマックスシーンについてや、最近の活動に関する思いも聞きました。

演じるときは、その役の一生分に寄り添う必要がある

――最初に脚本を読まれたときはいかがでしたか?
演じるときは、その役の一生分に寄り添う必要がある

『はるヲうるひと』より

山田孝之さん(以下、山田)「すごくつらかったですし、最後に得太が独白するシーンでは、何回読んでも涙が止まりませんでした。辛くてかわいそうすぎて。二朗さんが10数年前に脚本を書いたときから得太という存在が生まれていますが、得太に寄り添ってあげたのは、二朗さんが演じていたときだけです。ずっと孤独で、かわいそうで。俺も得太に寄り添いたいと思いました」 ――寄り添うというのは、まず客観的に得太を見て、そこから入っていくのでしょうか。 山田「最初は客観的ですよね。そこから歩み寄っていくし、引き寄せるし。それが最終的にひとつになる。芝居とか演じるとかって、非常に説明が難しいんですけど、撮影期間は3週間ですが、得太の一生分に寄り添う必要があるんです

その人の記憶を作って、人生を作っていく

その人の記憶を作って、人生を作っていく

『はるヲうるひと』より

――一生分に寄り添う。 山田「とにかく彼を知ってあげる。何が彼を苦しめていて、どうして抜け出せないのか。明確に覚えているのは、クライマックスシーンでぐちゃぐちゃになったとき、近くにすずカステラが転がってたんです。カットがかかって、次のアングルのためにスタッフさんが動きだしますよね。  でもそのとき、僕はそのすずカステラを見ながら、『あ、お母ちゃんすずカステラが好きだったな』『あのとき祭りに一緒に行って、すずカステラを食べたな』とか、記憶を作って、その人の人生を作っていくんです。それをやり続ける」
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スイッチを入れたままだった撮影
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