「若い頃より『女の価値』みたいなのが下がってよかった」アラフォーレズビアン漫画家に聞く
8年にわたり連載が続いているおっかけエッセイ漫画『ブラブラ珍所~イケメンに会いたくて~』シリーズ、NHKでアニメ化された『赤ちゃん本部長』など、幅広い層から根強い人気を集める漫画家・竹内佐千子の新刊『沼の中で不惑を迎えます。 輝くな! アラフォーおっかけレズビアン!』が9月3日発売となった。
おっかけのこと、家族のこと、健康のことなどを、独自の切り口と表現力で描いた竹内ワールド全開のコミックエッセイだ。不惑(40歳)を迎える直前の作者に、現在の心境を聞いた。
【『沼の中で不惑を迎えます。 輝くな! アラフォーおっかけレズビアン!』第1話出張掲載】⇒試し読みはこちら
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【竹内佐千子さんの前作についてのインタビューはこちら】⇒47歳本部長が突然赤ちゃんに!安田顕の声でアニメ化『赤ちゃん本部長』原作者に秘話を聞く
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――『沼の中で不惑を迎えます。 輝くな! アラフォーおっかけレズビアン!』(以下、『不惑』)は、竹内さんと担当編集者のエイチさんのお二人の会話がメインで進行します。パロディがあったり、いきなり大ゴマが入ったり、画面に動きと緩急があって非常ににぎやかですね。
竹内佐千子(以下、竹内):描いていて面白かったです。二人の対話が多くなってしまうので、そこはどうにか絵に動きを加えないと、みたいなのはありました。どんなシーンにするかは基本おまかせしてもらえたので、できたことだと思います。
担当編集エイチ(以下、エイチ):打ち合わせで話した内容を、どういう描き方や見せ方をするかについては、私は漫画の編集がほぼ初めてだったこともあって、竹内さんにおまかせでした。いきなり海辺に行ってたりとか、鉈(ナタ)を持って追いかけてくるとか(笑)、全て竹内さんが発案して。ネームを拝見して慄(おのの)くものの、特にこちらからは直さないという感じで。
――『不惑』では、アラフォーの不安や健康のことなど、ネガティブな部分にも触れられていますが、描く上で何か気を付けていた点はありましたか?
竹内:私の今までのエッセイと比べるとそう見えるかもしれないんですけど、あんまりネガティブな内容でもないんですよね。良いも悪いもない、ただの現状というか。
暗い部分やマイナスの部分も発信していこうという意識はそもそもなくて、アラフォーが会話するとこんな風になるよねっていう。それをあまり脚色せずに、でも漫画として成立するようにして、(アラフォーであることに対して)あんまり否定的にならないようにはしました。
――アラフォーになって、逆によかったと感じる点は?
竹内:若い頃と比べて、社会的にいういわゆる「女の価値」みたいなのが下がったことですかね(笑)。
――第6話「アングリー・アンチエイジング」で、「若さという抑圧から解き放たれた」と書かれてましたね。
竹内:やっぱりそこが一番ですね。結婚しろとか子どもはどうなのみたいなのも、どんどん減ってくる。
「あっ、この人結婚しないんだな」って位置に入ってくれたので聞かれなくなったし、20代の頃はレズビアンだと公言していたにもかかわらず、「竹内さんはそんなこと言いつつ男の人と結婚して幸せな家庭を築きそうだよね」みたいなことを何人かに言われたり。そういうちょっと面倒くさいことがアラフォーになってガクッと減りましたね。