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サマソニにも参戦するTOKIO、バンドとしての実力は?

 いまや農業アイドルとしてすっかりその地位を確立した感のあるTOKIO。しかしこの夏は“副業”のバンド活動で大忙しです。7月16日にはデビュー20周年を記念したベストアルバム『Heart』をリリース。そして8月16日には「サマーソニック2014」の東京ステージ、17日には大阪ステージに参戦と、記念イヤーにふさわしい働きっぷり。

体の丈夫な人たちが楽器を抱えるとおめでたい



ベストアルバム『Heart』

ベストアルバム『Heart』

 長瀬の中のリトルTOKIOがはみ出んばかりのホットパンツで暴れまわっていたのも、今は昔。装いや立ち居振る舞いのみならず、音楽そのものからも大人の雰囲気が漂うバンドに成長した姿に感慨もひとしおといったファンも多いのではないでしょうか。

 現在、彼らの後輩にあたるジャニーズJr.の面々が出演するドラマ『SHARK~2nd Season』でバンド演奏のシーンがフィーチャーされていますが、やはり農作業に裏打ちされたTOKIOにまだまだアドバンテージがありそうです。体力的な余裕からか、楽器を抱えるその姿に得も言われぬ安心感がある。それがTOKIOの魅力のひとつであるような気がします。

 大きな身体で体力に余裕のある人たちが親しみやすいポップソングで視聴者を楽しませる。そんなあっけらかんとしためでたさをアベレージでたたき出すことのできる器の大きさ。

 それが見事に結実したのが、03年発売のシングル「AMBITIOUS JAPAN!」なのだと思います。

 東海道新幹線品川駅の開業に合わせてJRからの依頼を受けて制作されたこの曲。作詞になかにし礼、作曲に筒美京平という昭和の歌謡曲を代表する作家が手を組んだことでも話題となりました。クライアントの要望に応える明瞭な言葉でありながら、そこにもう一つのストーリーを忍ばせた歌詞。その言葉をきちんと聴き取らせる符割りで、歌のたどっていくところに期待通りの和音が待っているメロディ。聴いても歌っても気持ちの良い、まさに玄人オブ玄人の仕事といったところです。

AMBITIOUS JAPAN

『AMBITIOUS JAPAN!』シングル盤

 しかしいかに曲が素晴らしく完成されていても、演者がそれを受け止められなければ意味がありません。「AMBITIOUS JAPAN!」でのTOKIOは、見事にそのタスクをクリアしています。長瀬智也の歌は曲全体を通して力をセーブして、あくまでも曲が引き立つような気づかいがなされています。必要以上に歌い上げたくなる誘惑にかられるメロディですが、自らを律している。

ストレートにバンドらしいたたずまい



 そして何よりもこの曲を演奏するときのバンド全体のたたずまいがよいのです。曲の構成がはっきりしているので、彼らの演奏のメリハリが目に見える形で分かる。松岡昌宏のすかしたドラム。見てくれはほとんどスタジオミュージシャンの城島茂のギター。そこにニコニコとクネクネが一体化した山口達也のベースが絡むのは、いつものTOKIO。

 しかし「AMBITIOUS JAPAN!」では各セクションのつなぎに演奏のストップアンドゴーの場面が設けてあるので、そこでちょっとした表情の変化が垣間見えるのです。

 もしかしたらそこまで計算されて作られた曲なのかもしれません。それが過剰に際立たせられると観ているこちらも興ざめしてしまうのですが、TOKIOにその心配は無用。その慎ましさを可能にするのは、やはり体力的、体格的な余裕であるように思います。そしてその余裕が楽曲に仕えている。そこにTOKIOのおおらかさがあるのではないでしょうか。

 そんな中、一人異質のプレースタイルを貫くのがキーボードの国分太一。手先を縮めてカタカタと鍵盤を叩くその姿は、レジでその日の売り上げを確認しているようにも見えます。MCを務める朝の情報番組『いっぷく!』の視聴率が思いのほか一服してしまい厳しい状況ですが、この男の抜け目のなさは侮れない。そんなことを再確認させてくれる演奏です。

 何はともあれ、音楽の楽しさをストレートに伝えることのできる存在は稀有です。それは音楽の広さや深さをマニア同士で確認しあう慰みに甘えることよりも、はるかに難しい。華があると言ってしまえば簡単なのかもしれませんが、実はその華にこそ実直な下地があるのではないか。TOKIOはそんなことを考えさせてくれるバンドです。

<TEXT/石黒隆之・音楽批評>

HEART

TOKIOのデビュー20周年(2014年時)記念アルバム。ファン投票による上位曲を、レーベルを超えて収めたオールタイム・コンピレーション!




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