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「首浮き輪」赤ちゃんの命を危険にさらす使い方が拡散…虐待では?と小児科医も警鐘

 赤ちゃんの首につける浮き輪型のアイテムを知っていますか? 様々なメーカーから商品が出ており、SNSでも、首浮き輪をつけてお風呂で浮かぶ赤ちゃんの投稿写真をたくさん見ることができます。  しかし、浴室で首浮き輪を使用した際に赤ちゃんがおぼれるなどの事故も複数報告されており、メーカー側も「赤ちゃんから目を離さずに使ってください」と注意喚起をしています。
赤ちゃんの首浮き輪

写真はイメージです(以下同じ)

 この首浮き輪の使用方法や注意点について、小児科医ですずきこどもクリニック院長の鈴木幹啓(すずき・みきひろ)先生にお話を聞いてみました。 参考:消費者庁 国民生活センター「首掛式の乳幼児用浮き輪を使用する際の注意について」

赤ちゃん用の首浮き輪は、存在自体が危ないのでは

――赤ちゃんの首浮き輪での事故が多数報告されていますが、先生は首浮き輪についてどのような考えでしょうか。 鈴木先生(以下、鈴木)「首浮き輪を、赤ちゃんを一人で浴槽に浮かせて大人が目を離す、お風呂の便利アイテムと思い込んで使用している方が多くいらっしゃるのですよね。そのような使い方をされてしまっている以上、首浮き輪の存在自体が危ないと、私は考えています」 ――メーカーは知育玩具やスポーツ玩具としていますが、たしかに、首浮き輪で赤ちゃんを浮かせている間に、親が自身の体を洗う「便利グッズ」にしているケースも少なくないと思います。SNSなどでも拡散されていますよね。 赤ちゃんの首浮き輪鈴木「首浮き輪には着脱式のものや円形のものがありますが、赤ちゃんの首が入るということは抜けるということでもあり、目を離した隙に抜け落ちる可能性は十分にあります。  また、赤ちゃんの体はすぐに大きくなります。首浮き輪を購入した時に赤ちゃんの体にフィットしていても、赤ちゃんの体はすぐに大きくなるので、1ヶ月もすればサイズが合わなくなります。小さいサイズの商品を使うことで、赤ちゃんの頸動脈(けいどうみゃく)を締め付けて脳血流を低下させる可能性もあります」

おぼれる以外に、脳血流の低下、窒息の危険も

――おぼれなくても、首を締め付けられて脳血流を低下させる可能性があるんですね。 鈴木「そうなります。また、首浮き輪が顎より前に大きくズレて出てしまい、鼻や口を覆ってしまった場合も窒息します。布などと違い破れない素材でできているので、鼻や口に密着すると水におぼれなくても窒息の危険があるのです」 ――そう考えると、かなり危険なアイテムですね。 鈴木「首浮き輪に関わらずお風呂での事故は多く、日本小児科学会によれば、乳児の5人に1人が『お風呂でおぼれそうになった・おぼれた経験がある』という調査結果も出ています。  日本では入浴の習慣があることから、浴室は家庭内でも一番と言えるほど死亡リスクの高い場所なのです。そのような場所で安易な便利グッズを使うこと自体、間違っていると私は思います」 【関連記事】⇒「抱っこひもで自転車」は絶対やめて!赤ちゃんの死亡事故も発生 【関連記事】⇒節分の豆、5歳以下にはダメ!死亡事故も。つまらせないための4つのポイント
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赤ちゃんがおぼれる時は、声を出さないで無言で沈む
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