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子なし女性が抱える心のモヤモヤ、「年賀状」や「母の日」がつらいワケ

“産まない産めない女性の幸せな人生計画”を応援するポッドキャストとサイト「FLOW」を運営し、子どものいない女性や夫婦の情報を発信するボレンズ真由美さん(41歳)。  インタビュー前半では、3カ国8年間の不妊治療体験と、ご夫婦ふたりで歩む道を選ばれたあとの葛藤や、どのように気持ちを切り替えて行ったのかについてお話を聞きました。
ボレンズ真由美さん インタビュー②

ボレンズ真由美さん

【インタビュー前半】⇒8年の不妊治療を経て“子なし”を選択した女性の胸の内「夫の言葉に救われた」  後編では、多様化しても女性たちの間に横たわる、産む・産まない・産めない問題について、ご自身の経験を交えてお話いただきました。

子どものいない人生に苦しむ女性達

――今はご経験を活かし、コーチとして子どものいない女性や夫婦を中心にさまざまなご相談を受けていらっしゃいます。寄せられるお悩みは、どのようなものが多いですか?
子どものいない人生に苦しむ女性達

写真はイメージです。

ボレンズ真由美さん(以下、ボレンズ)「『子どもがいない人生をどう受け止めたらいいかわからない』というお悩みは多いですね。  私の活動をご覧いただいて、『真由美さんのように笑っていたいのに、うまく切り替えられない』という声が寄せられます。パートナーや両親への罪悪感や自分自身への後悔も募って、心のプロセスが進まないという方も、大勢います。  私は自分が思い描いていた未来を奪われることを“グリーフ”(悲嘆)と呼んでいます。大切な人を失って深い悲しみに陥る人は多いですよね。思い描いていた未来を失うことも、大切な人を失ったときに似たグリーフが伴います。想いを断ち切るべきものではなく、グリーフは上手に付き合っていくものだと思っています。  たとえば赤ちゃんの写真を見ただけで心がざわついたり、人に会いたくなくて外に出られなかったり、どうにも力が入らないことがあったら、それは大切な人を失ったときのグリーフに似ている。グリーフと向き合うことをせず、無理矢理気持ちを箱に押し込めて、心の奥にしまっておく。40代はそれでよかったとしても、50代や60代で何かをきっかけにそのフタが開いて、『ブラックボックスが開いてしまいました……』と悩みを打ち明けてくる方がたくさんいます。  子どもが授からない、あるいは流産や初期流産など、ひどく悲しい思いをしても我慢して切り替えよう、忘れようと心に無理ばかりさせてきた方が、後になって抑えていたお気持ちと向き合うことで、大変苦しい思いをされています」

子どものいない理由は人それぞれ

――ひと口に“子どものいない人生”といっても、さまざまなケースがありますね。ただ、子どものいない人たちがどんな思いを抱いているのか、世間に伝わりきっていないことも大きいように思います。 子どものいない理由は人それぞれボレンズ「子どもがいないと『自分は女性として義務をはたしていない』と肩身のせまい思いをし、自分のことを語りづらくなる人も多いですね。  “子どもがいない人”とひとくくりにせず、さまざまな背景があることを社会に識(し)ってもらうのはとても重要だと思います。最初からふたりで生きる人生を選んだ人もいれば、私たちのように結果的にそうなってしまった人もいます。  また、持病をもっていて、『次の世代に継ぎたくない』という責任感から子どもをもうけないという人もいます。『女性だから母性がある』という固定観念も、変えていかなければと思います。男女問わず、子孫を残したいと思わない人もいるし、結婚さえしたいと思わない人もいます。  どなたの人生も尊重されるべきだし、人によってそれぞれの背景があることにみんなが目を向け、理解が深まっていくといいのですが……。幸せのカタチにはこれだけ多様なものがあるので、それぞれの生き方を受け入れてもらえたらいいなというのが私の切なる願いで、そのために活動しています」
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母の日や年賀状、妊娠報告がつらい
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