人種差別的な発言を繰り返して反発を呼び、業界追放の危機に直面している大物ラッパーのカニエ・ウェスト（45）。先月には、長年パートナーシップを組んできたアディダスも提携解消を発表した。そのアディダスの元社員たちがこのたび、カニエによる過去の不適切行為を告発、さらにそうした行動を「見て見ぬふりをしていた」として同社の経営陣も批判した。 　米誌『ローリングストーン』が報じたところによると、独スポーツ用品大手「アディダス」の元社員ら数人が、かつてカニエからハラスメントを受けていたと告発。同社とカニエが共同開発していたスニーカー「イージー（YEEZY）」の元スタッフだったという彼らは、当時の妻キム・カーダシアンのヌード写真や露骨なビデオを見せられたうえ、性的できわめてプライベートな内容の話も聞かされたという。 　また、採用面接中に「妻からこんな写真が送られてきた」と言いながら、元妻の裸体がうつったスマホ画面を求職者に見せたこともあったとしている。 　さらにデザインを担当していた女性スタッフに対しても問題行為があったと同誌は報じている。 「彼は過去何年にも渡り、部屋にいる女性たちに向かって攻撃的な発言をしたり、デザインのフィードバックをする際に、ひわいな言葉を口にすることがありました」 　元社員らは、カニエのこうした行為を把握していながら黙認していたとして、会社の対応も批判。「彼によって有害で無秩序な環境が作りだされた」「彼のもとでは、女性たちが虐げられるやり方がまかり通っていた」と指摘したうえで、「アディダス社員はこうした仕打ちを決して受けるべきではなく、同社の経営陣も決して容認してはならないものです」と訴えている。 　ローリングストーン誌は、元社員らのインタビューとともに、彼らがアディダスの上層部に送ったという書簡も公開。その書簡では「私たちが経験した何年にもわたる暴言、下品な罵倒、いじめや攻撃などに対し、アディダスが社員のために提供しなかった責任、説明責任、保護」について言及。「カニエだけを非難したいところですが、アディダスの経営陣と取締役会が非常に大きな加担者だったというのは否定できない真実です」と綴り、会社の責任も追及している。 　同誌の報道後、アディダスの広報担当者は「匿名の書簡に書かれた主張が真実であるかどうかは、現時点では不明」とするコメントを発表。一方で、「私たちはこの申し立てを真摯に受け止め、独立した調査をただちに行うことを決定しました」「この件について、これからも社員と積極的に対話していく所存です」とも述べ、元社員らが告発したカニエの不適切な行為について調査を開始したと明らかにした。