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ドラマ『silent』はスマホの使い方が神、“消す”ことで視聴者だけ分かる本音って

 川口春奈主演、目黒蓮共演のドラマ『silent』(フジテレビ)が、ファンを増やし続けている。動画配信サービス『TVer』上では再生数が歴代最高記録を塗り替え、『silent シナリオブック完全版』に予約が殺到するなど、社会現象になっています。第8話では、青羽紬(川口)と佐倉想(目黒)が、ふたたびともに歩き始めたからこそ生じる揺れにぶつかりつつ、また一歩前に進んだ。  1993年に放送された『ポケベルが鳴らなくて』から、電話に付随するやりとりは、フィクションをドラマチックに盛り上げてきた。しかしケータイ、殊にスマホ(インターネット)が普及してからというもの、生活はあまりにも便利になり、ドラマ作品においても登場人物たちのもどかしいやりとりが極端に減ってしまった。しかし『silent』は、スマホをドラマチックアイテムとして見事に復活させている。 【関連記事】⇒ドラマ『silent』プロデューサーが語る「紬が“青い服”を着ているワケ」 【関連記事】⇒話題沸騰のドラマ『silent』、最終回への想いを村瀬健Pと脚本家・生方美久が語る 【関連記事】⇒『silent』ロケ地のカフェ、120分待ちの大行列。オーナーは目黒蓮のファンに 【Amazonで予約受付中!】⇒『silent シナリオブック 完全版』の詳細はコチラ

電話は“すれ違い”を生み出すアイテムだった

電話は“すれ違い”を生み出すアイテムだった

国武まり「ポケベルが鳴らなくて」(トライエム)

『ポケベルが鳴らなくて』は、秋元康原案・企画による、緒形拳主演、裕木奈江共演の不倫ドラマであり、同名の主題歌も大ヒットした。ポケベルと聞いても、今の世代はピンと来ないに違いないが、このガジェットは、誰かが誰かと連絡を取りたい際に、「私に連絡をください」という信号を送るだけの機器だ。どういった用件かは、実際に連絡がつかなければ分からない。しかし相手が自分と連絡を取りたがっているという事実だけで、恋人たちは胸を焦がした。  さらに、かつて電話といえば家に置いてある固定電話のみだった。電話の先にはコードがあり、繋がっている範囲しか移動できない。みな、リビングや廊下に設置された電話の前で話をした。家族共通の機器でもあるため、相手の家に電話をすると、家族が受けてしまうというスリリングな面もあった。遠い昔に思えるが、意外とほんの少し前の話でもある。

もどかしさやドラマチックさを演出

もどかしさやドラマチックさを演出

写真はイメージです。(以下同じ)

 たとえば宇多田ヒカルの楽曲を基に、1998年から2018年までの20年間を見つめた、現在Netflixで配信中の佐藤健、満島ひかり主演のドラマシリーズ『First Love 初恋』には、1998年に高校生だった恋人たちが使うアイテムとして、まさに家電が登場。回線が混線するという現象も描かれるが、これも若い世代へはなんとも説明が難しい。大学進学で上京したヒロインが、携帯電話のアンテナを立てて、部屋の中で電波を受信しやすい場所を探すといった描写もある。現在、かろうじて見かけることのある公衆電話も、映像における見映えも含め、素敵なアイテムだった。  とにかくかつて生活は不便で、しかしドラマチックだった。そしてフィクションの中で、恋人たちのすれ違いを多く生み出してきた。待ち合わせには場所と時間をきっちり決める。そうしないと会えないのだ。5分違いで思い合うふたりが同じ場所にいたり、歩道橋の向こうにいる相手を見かけても、そのまま相手がタクシーに乗ってしまうといったすれ違いを、視聴者だけが目撃し、もどかしさにもだえ、「やっと会えた」のカタルシスを感じてきた。  いまや生活は便利になり、ドラマチックさは減った。だが、『silent』ではとても効果的なガジェットとして溶け込んでいる。それは聴者がろう者と会話する際に使う、音声認識アプリ「UDトーク」やテキストの利用といった使い方に留まらない。
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『silent』の巧みなスマホの使い方とは
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