松本穂香「見れば見るほどハマる、沼る!ハチャメチャに面白い作品」|映画『マティアス&マキシム』
数々の映画やドラマに出演している、若手注目株の女優・松本穂香さん。大の映画好きでもある松本さんが、お気に入りの作品『マティアス&マキシム』(2020年)について熱く語ってくれました。

今回ご紹介したい映画は、グザヴィエ・ドラン監督の『マティアス&マキシム』。タイトルにもあるマティアスとマキシムは幼なじみ。一回のキスをきっかけに2人の関係性に変化が起きていく、という物語です。
ドラン監督といえば、監督も脚本も演者もやってしまうという超強者。それでいて出来上がった作品もハチャメチャに面白いのだから、もう、あなた天才! の一言しか出ません。私が初めてドラン作品を見たのは’14年の『Mommy/マミー』という作品だったのですが、そのときから今までの映画の枠を超えてくるような表現に驚き、魅了されたのを覚えています。役者としても素晴らしい存在感と唯一無二の色気! 見れば見るほどハマる、沼る! 私の中でそんな定評のあるグザヴィエ・ドランさん。今回の作品も、そんな彼の魅力が存分に発揮されていました。
ドランの作品に流れる空気はいつもどこか憂いのようなものがベースにあって、物語が進むごとに緊張感や目の前に迫ってくる力強さみたいなものを強烈に感じるのですが、今作はそこに時折クスッと笑える温かいおかしさや愛らしさが交じっているのが印象的でした。自分はどんな人間なのか、葛藤する姿はとても切なくて、とても愛らしくて。抱きしめたいのに傷つけてしまう。言葉に表せない自分の思いに苦しみながら、それでも進んでいく彼らの姿に、ドランが込めた思いが伝わってくるようでした。
ストレート、ゲイ、バイセクシュアル。枠組みをつくることで楽になる人もいれば、囚われて苦しむ人もいる。一人ひとりが自分のアイデンティティと向き合っていくことで、世界は確実に変わっていく。
「枠を超えていく」
私が初めてドランの作品を見た時に感じた魅力を、また違った形で感じさせてくれる作品でした。ちなみに、彼はまだ33歳! こんなに魅力的な33歳がこの世にいるなんてー! いつかお会いしてみたいものです。
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<文/松本穂香>
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松本穂香さん
天才が生み出した、ハチャメチャに面白い作品
「枠を超えていく」という魅力
松本穂香
’97年、大阪府生まれ。’15年にデビューし、映画やドラマを中心に活躍。週刊SPA!にて、映画コラム「松本穂香の銀幕ロンリーガール」を不定期連載中
●『マティアス&マキシム』
発売・販売/TCエンタテインメント。監督のドランが、主人公の一人、マキシムを演じている。Blu-ray(5720円)、DVD(4620円)発売中 ©2019 9375-5809 QUEBEC INC a subsidiary of SONS OF MANUAL