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NHK『大奥』、福士蒼汰が演技力に磨きをかけ好演。“感情の揺れ”がすごい

「上様こそ、この世で一番救われぬお方にございます」。春日局(斉藤由貴)の言葉が響く。NHK連続ドラマ『大奥』の第2話が放送され、「三代将軍家光・万里小路有功編」がスタートした。物語をけん引する福士蒼汰と堀田真由、特に第2話では福士がこれまでに重ねたキャリアと、自身の持つオーラを最大限に発揮してみせた。 【前回記事】⇒“男女逆転”『大奥』、冨永愛が演じる徳川吉宗に感嘆。期待以上すぎた

斉藤由貴演じる春日局に背筋がゾッ

 前回、至極当然に立って見せた、冨永愛による“女性”将軍・徳川吉宗。だが、実は本パラレルワールドにおいても“男女逆転大奥”は、謎の伝染病「赤面疱瘡」により、家光公の血を引く唯一の娘が身代わり将軍となったことから始まったことが、春日局の残した「没日録」により明らかになっていった。
斉藤由貴演じる春日局に背筋がゾッ

(C)NHK

 赤面疱瘡により徳川家光が死亡。しかし家光の乳母・春日局は「上様は、亡くなっておらぬことにするのじゃ」と、将軍の死を隠したまま、“身代わり”を用意するよう、息子であり徳川家臣の稲葉正勝(眞島秀和)に告げる。大原麗子、十朱幸代、松下由樹など、これまでにも多くの名女優が演じてきた春日局だが、このパラレルワールドにおける斉藤由貴もまた圧巻で、登場シーンから背筋を凍らせてくれた。拍手。  家光の死から6年。公家出身の若く美しき僧・万里小路有功(福士)は、慶光院の跡目相続の御礼のために江戸城入りしたが、無理やり還俗(げんぞく)させられ、大奥から出られなくなる。そして現在の将軍・家光(堀田)は少女だと知るのだった。

「できた人間」ではない若い僧、有功を福士蒼汰が好演

「できた人間」ではない若い僧、有功を福士蒼汰が好演

(C)NHK

 さて、有功が最初に還俗を断った際に、春日局が口にしたのが冒頭に記した「上様こそ、この世で一番救われぬお方」という言葉である。これを聞いて、有功は何とも言えない複雑な表情を見せる。それはそうだろう。将軍は天下人。有功が、自身が救うべきと考えていたのは、江戸城に向かう際にも出会った、赤面疱瘡で命を落とし、僧からのお経さえ断られる少年や、理不尽に髪を切られた少女、その家族といった貧しい人々だった。  だが、第2話でも少しばかり見え始めたが、この春日局が発した言葉の真の意味を、これから有功も私たちも、知っていくことになる。そして、これを受けた際の福士のなんとも言えぬ表情がよかった。第2話クライマックスでの素振り1000回のくだりでの、さまざまな思いが去来し、やがて空っぽになっていく、瞳の激しさからの「もう、何も考えたない……」とつぶやき果てた姿などはもちろん、こうした一見ちょっとした表情に、福士が俳優として積み上げてきた力を感じる。
福士が俳優として積み上げてきた力を感じる

(C)NHK

 よしながふみによる原作コミックをすでに読んでいると、有功は、この大奥という世界において幕末まで語り継がれる、いわば神聖化された存在になっていくため、どうしても「できた人間」としてイメージしてしまう。まだ若いひとりの僧であることを、つい忘れてしまうのだ。  しかし少女・家光と響き合えたのは、すべてを包み込める「できた人間」だったからではなく、弱さや感情の揺れを抱えたひとりの人間だったからなのだということを、実写化された本作が、演じる福士が、改めて教えてくれる。そしてそうした繊細さを、技術を積み上げつつ、さらに福士自身が持ち続けていることが、本作の有功に、とても合ったように思う。
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舞台『キングダム』などの音楽家による劇伴にも注目
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