コロナ後の倦怠感、頭痛…その不調「ある炎症」かも。32歳女性が寝たきり⇒職場復帰するまで
2020年から全世界に猛威を振るった新型コロナウイルス。
緊急事態宣言の終了が発表され、日本でも5類感染症に位置づけられましたが、ウイルスが消え去ったわけではなく、その脅威がいつまた再燃するとも限りません。
そんな中、今、世界中で大きく注目されているのが「新型コロナ後遺症」です。
全身の疲労感、倦怠感をはじめ、さまざまな症状が2か月以上にわたって持続するもので、感染から1年、2年と経過しても、後遺症に苦しむ人が少なからずいます。
「実は、新型コロナ後遺症やワクチン後遺症に悩む患者さんを診察すると、『ほぼ全員』といってよいほどの高い割合で、激しい慢性上咽頭炎が見つかります。
もともと慢性上咽頭炎は多くの人に見られますが、新型コロナ感染症や新型コロナワクチン(mRNAワクチン)の副反応によって慢性上咽頭炎が悪化し、その影響でさまざまな症状が起こると考えられます」
そう明かすのは、慢性上咽頭炎治療の第一人者であり、4000人以上の患者を診てきた医師・堀田修先生。
堀田先生によると、新型コロナ後遺症・ワクチン後遺症の改善には、慢性上咽頭炎の治療であるEAT(上咽頭擦過療法)が有効で、複数の医師や大学などの研究機関が報告や論文発表を行っています。
本記事では、堀田先生の新刊『その不調の原因は慢性上咽頭炎にあった』より、慢性上咽頭炎について、新型コロナ後遺症の症例とともに説明していきます。
呼吸によって左右の鼻の穴から吸い込まれた空気は鼻の奥で合流して、肺に続く気管へと向かいます。鼻から入った空気が流れを変える場所が、上咽頭です。
吸い込んだ空気には、ほこりやダニ、さまざまな細菌やウイルスなど、体に有害な異物が含まれていることがあります。
私たちの体には、こうした異物から体を守るための「免疫」のしくみが備わっています。上咽頭はこれら異物との最初の接触地点であり、この場所で炎症が起こるのが「上咽頭炎」です。
もともと上咽頭は、細菌やウイルスが侵入して増殖することにより、炎症を引き起こしやすい場所です。
上咽頭に炎症が起こると、鼻水や咳、のどの痛み、つまり、風邪のような症状が現れます。
こうした急性の上咽頭炎であれば、抗生剤や消炎剤などで治療できますし、少し経てば自然に治ることが多いものです。
ところが、なんらかの理由によって、上咽頭の炎症が慢性化した状態になってしまうことがあります。これを「慢性上咽頭炎」と呼びます。
新型コロナ後遺症と慢性上咽頭炎
「慢性上咽頭炎」とはなにか
