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斎藤工や坂東龍汰が幼い頃に受けた“一風変わった教育”。注目俳優の意外な共通点とは

 演技を学ぶためには、プロの俳優を育成する演技学校やワークショップを受講すれば、手っ取り早いかもしれない。
坂東龍汰 ファースト写真集 『 日常日和 』(ワニブックス)

坂東龍汰 ファースト写真集 『 日常日和 』(ワニブックス)

 一方で、俳優になる、ならない以前の段階で、初等教育からじっくり時間をかけて育まれた内面性を武器にした方が、長い目で見ると俳優としての才能は伸ばしやすいかもしれない。その意味で、斎藤工や坂東龍汰を輩出したシュタイナー教育の学校は興味深いものがある。  イケメン研究をライフワークとしながら、映画の演技を専門的に分析してきたコラムニスト・加賀谷健が、演技を学ぶ新たな教育機関だと感じるシュタイナー教育を解説する。

スター俳優の共通点

 これまでさまざまな俳優と仕事をしてきた経験上、わかってきた共通点がある。特にスターといわれる俳優たちの多くが、「演技とは……」云々など、必要以上のことは語らない傾向にあることだ。  それは別に独自の演技論を言語化できていないわけではない。むしろ彼らには感覚的にも理論的にも構築された、確固たるスタイルがある。必要以上のことを言葉で補足するのではなく、演技の形としてあっけらなんと可視化できてしまう。  スターだろうがなんだろうが、最初は誰かに演技を学ぶ。学んだことを言語化しながら、いつしか不要なことが削ぎ落とされる。自分の中に独自の演技が不意に見つかる瞬間があるはずである。そのためには、まずは誰でも学びのスタートラインに立つ必要がある。

演技を学ぶ新たな教育機関

斎藤工 蜷川実花 箱根編

『斎藤工 蜷川実花 箱根編』(ギャンビット)

 今の時代、演技を学ぶ場所は、演劇や映画が専科としてある大学だけに限らない。さまざまな形式や目的をもつワークショップなど、広く一般にまでひらかれている。最初から劇団や撮影現場で経験を積む選択肢だってある。あるいは、必ずしも演技を学ぶことが前提とはされていない新たな教育機関もある。  映画を専門職とする筆者は、三谷幸喜や本多猪四郎などを輩出した日本大学芸術学部で、いわゆる日芸生として映画の演出や演技を専門的に学んだ。そのため、どこか映画の知識に偏って物事を思考する癖が身についてしまった。その一方で、そうした専門性にとらわれない場所のほうが、柔軟な思考力を得られる利点がある。  たとえば、ドイツの教育者であるルドルフ・シュタイナーが提唱した教育理論「シュタイナー教育」に基づくシュタイナー学校である。フリースクールの先駆けでもあるシュタイナー学校は演技を専門的に学ぶ学校ではないが、実際に斎藤工や坂東龍汰などの才能を輩出している。一般的な教育過程よりは専門性がありながら、フレキシブルな教育方針が、俳優という自由な才能を育んでいるのだと思う。
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初等教育を学んだ斎藤工と坂東龍汰、村上虹郎
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