20代ギフテッド夫婦が明かす幼少期の“人との違い”。「ギフテッド=ものすごい天才」ではない
こんにちは、コラムニストのおおしまりえです。
「ギフテッド」と聞いたとき、皆さんはどんなイメージを抱くでしょうか。
「非凡な才能を持った子」
「早期に何かしらの才能を発揮する子」
「IQが高い天才的な存在」
などなど。ポジティブなイメージが先行することが多いようです。
一般的に、同世代と比べて知的能力が高かったり、特定分野に際立った才能を持っていたりする子どもがギフテッドと呼ばれます。しかし、ギフテッドによく見られる特性があり、それゆえ配慮や支援が必要な子どもも存在し、誰もがすんなりとポジティブな才能を発揮できるわけではないといいます。
今回は、ギフテッド当事者であり、現在ギフテッド特性のある子のためのフリースクール・個別指導塾「Lagoon」を運営するMaiさん(29歳)と、その夫でご自身もギフテッドのNaoyaさん(28歳)のお二人に、幼少の頃のお話や、特性との付き合い方についてお話を聞きました。
親になると、誰しも一度は「自分の子どもは特別なのではないか」と、良くも悪くも想像することがあるでしょう(私はしょっちゅうあります!)。
そうした気持ちが湧いたとき、便利な言葉として「ギフテッドじゃないかな?」と、安易に想像するケースもあると聞きます。しかし、一概に「ギフテッド=天才的に優秀な子」というわけではないといいます。
まずはお二人がいつ、どんなキッカケで自身がギフテッドであることに気づいたのか教えていただきました。
Maiさん「私は現在29歳ですが、ギフテッドの概念に出会い、自分がそうであると知ったのは、25歳頃です。当時大学で教育学を学び卒業後、IT系の企業に勤めていたとき、知能検査の『ウェクスラー式知能検査(WAIS)』を受けるキッカケがあり、自分の特性を知ることとなりました。
そこから自分と同じような特性を持つギフテッドのお子さんの支援をしたいと考え、児童発達支援のスタートアップに転職し、2年半前に独立。現在のフリースクール運営へとつながっています」
Naoyaさん「僕は現在、2つの活動を行っています。1つは機械学習を専門とするフリーランスエンジニアとして、リモートで仕事を行っています。もう1つは、現在南アフリカのケープタウン大学で博士課程に在籍しています。チーターの動きを工学的に利用するために、動物の観測技術やデータ処理について研究を行っています。
僕自身は教育は専門ではなく、妻がギフテッドの概念を知る中で、一緒に「ウェクスラー式知能検査」を受け、そこでギフテッドに当てはまるんだなということを知りました」
ギフテッドという言葉が知られてきている現代ですが、定義をきちんと理解している人はまだ少数です。
聞き手である筆者も、最初は「IQ130以上の天才児」など、ふわっとしたイメージを抱いていました。しかしギフテッドの中には、知的な高さと発達障害を持ち合わせている人もいて、それを「2重に特別な(Twice-Exceptional)」という意味の「2E」と呼ぶこともあると知りました。
Maiさんはギフテッド当事者であり、ギフテッドを支援する立場でもあるわけですが、正しい定義と、実際どんなイメージを抱かれることが多いのか聞きました。
Maiさん「『ギフテッド』と聞くと、日本では『ものすごい天才』みたいなイメージが強いですが、実際にはそうでないことを、当事者であり支援に関わる立場から伝えたいです。
『ギフテッド=IQ130』とか『高IQ』とイメージされがちですが、ギフテッドには統一された共通の定義がありません。諸外国でも地域や団体によって定義が異なります。ですが一般的には、同世代と比べて高い知的能力と、特有の性格特性があることをもって、『ギフテッド特性がある』と認識されるケースが多いです。
人間のIQの平均を100としたときに、統計的に『稀な値』である上位2%くらいを考えると、IQ130が目安であるため、かつてはIQ130が基準として語られていました。現在は、本人の性格や特性、行動観察の結果も踏まえて判断する傾向があり、IQの高さだけでギフテッドの判断をすることは少なくなってきています」
ギフテッドであると気づいたきっかけ
当事者が語る「ギフテッド」の定義
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