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幻の代休、76日休みナシ…社員が逃亡する「ブラック企業」の実態

幻の代休、76日休みナシ…社員が逃亡する「ブラック企業」の実態 セクハラ、恫喝、過重労働などトラブルの宝庫「ブラック企業」。

 この忌まわしい言葉が生まれて久しいですが、裁判沙汰に発展するケースもある一方、全国津々浦々で非人道的なエピソードは絶えることがありません。

 今回は、今まさにブラック企業と決別しようとしているAさん(39歳男性)に話をうかがいました。

ノロでも「出勤しろ」 出社すれば「来るな」



『新規事業を立ち上げる』という誘いを受け、某IT会社に中途入社したAさん。入社してしばらくは、雇用条件の週休2日も守られ順調な会社生活を送っていたそう。しかし、東北大震災を境に状況が一変。

Aさん(写真1)

本が1冊できるくらいエピソードが出るわ出るわ

「上司から『今度代休をあげるから』と言われ、土日出勤する日々が始まりました。

 最初こそ、今は会社も大変なときだから、と自分を納得させていましたが、そのまま代休を与えられたことはなく最高76日連続出勤したこともあります」

 約2か月半もの間ノルマを達成するまで帰らせてもらえず、「お前の家庭なんて知ったこっちゃない」と16時間以上働かされることもざらだったとか。年末年始でさえ休めたのはたった1日だけ。

「過労で倒れても1日半しか休みをもらえませんでしたね。一番辛かったのは、連勤が続いていたときにノロウイルスにかかってしまい、そのことを上司に電話で報告したところ『いいから来い』という言葉が返ってきたことですね。這うようにして会社の最寄り駅に着いたところで『うつるからやっぱり来るな』と言われ、その日は帰りました」

 体力的にも精神的にも限界を迎えていたAさん。7ヶ月前、現在の会社への転職に成功しました。

ノルマ未達成は「給料から10万引くぞ」



 心機一転、新たな会社生活を始めたAさんでしたが、蓋を開けてみればこの会社もなかなか癖アリだったそうで……。

Aさん(写真1)

「10歳の娘のためにも頑張らないと」と語るAさん

「面接では印象が良かったのですが、いざ試用期間が終わってみると恫喝の日々が始まりました。目標を達成できないと『次の給料から10万引くぞ』と脅され、実際に給与が名目不明で2万円引かれていたことも。

 ある時なんか、新入社員が恫喝の様子を見て怖くなったのか、コンビニに行ったきり戻ってきませんでした。入社して2時間のことです(笑)」

 社員数10名ほどの小規模な会社なのにもかかわらず、この7ヶ月で15人が退職するという異常事態が現在進行中だそう。

 1度ならず2度までもブラック企業の毒牙にかかってしまったAさん。目下のところ転職先を探しているとのこと。

 壮絶なエピソードがゴロゴロ飛び出した今回のインタビューでしたが、最後に「かなり免疫ができたので大抵の会社なら我慢できます(笑)」と笑顔で去ったAさんに陰ながらエールを送ったのであります。

<TEXT,PHOTO/井上こん PHOTO/Gualtiero Boffi>

―ブラック企業の実態【1】―

井上こん
’86年生まれ。明治大学農学部中退。120倍激辛麺/1リットルジョッキ酒/ドヤ街宿泊レポ/ローション運動会など、アレな取材多し。「はまれぽ」、「SPA!」などで執筆。TCGにて猫のボランティア活動も。twitter@koninoue




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