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超人気の銘酒「獺祭」の直営バー。昼からキュッとやる女性も

 東京・中央区京橋「東京スクエアガーデン」地下1階にある「DASSAI BAR 23」を訪ねてみた。

 このバーで出されるお酒は日本酒のみ、それも「獺祭」。日本酒通の間で、なかなか手に入らないと今、評判の山口県・旭酒造の酒である。山口県出身の安倍晋三首相は来日したオバマ大統領にこの蔵元の「獺祭 磨き その先へ」(1本3万2400円!)を贈ったという。

手に入りにくいほど人気の「獺祭」を知ってる?



――「だっさい? なんだそれは」

――「獺の祭りと書いて、そう読むそうでございますよ。ウソともオソとも申しますが、川獺のことです。……(略)」と、権介は対岸の巨木を指してから続けた。「……川獺という生き物には、奇妙な習い性がありまして、捕えた魚を、食べるまえに岸の岩などに並べるそうでしてね。人が先祖をまつるときの供物のように並べて置きますので、魚をまつるのにたとえて獺の祭、つまり獺祭というのだそうです」

時代小説『獺祭』(野口卓著/祥伝社文庫)より

 女性の中には、日本酒は酔いやすいし匂いも苦手、オジサンの飲むもの……と思っている人もまだ多いのではないだろうか。「獺祭」の広報を担当する斉藤明日美さん(28歳)も、実はそう思っていた一人。

「獺祭」の美人広報、斉藤明日美さんと「獺祭 磨き二割三分」(グラス1,900円)

「学生の時、先輩に飲まされた日本酒が全然おいしくなくて、しかも悪酔いした経験から、日本酒なんてもう二度と飲みたくない、と思っていました」。

 コンピューター関連会社に就職した斉藤さん。ある時、クライアントを和食店で接待することになった。

「東京・世田谷区の一見さんお断りの店『つくしのこ』で、おいしい和食と一緒に接待相手の方が日本酒を注文されたので、私もひと口だけ……とその時にいただいたのが「獺祭」の「オッターフェスト」という銘柄。日本酒は苦手だったはずなのに、ひと口飲んで、あれ? なんだろうこれ、おいしい! と驚いてしまいました。しかも、翌日、酔いも全く残らなくて。おいしいお酒はおいしい、それに幸せな気持ちになれるんだ、と感じました」

 それからというもの、日本酒、というより「獺祭」のファンになった斉藤さんは、FacebookなどのSNSを通じて、そのおいしさを発信し始める。

「ファンクラブとかボランティアみたいなものですね(笑)。それがご縁で、旭酒造の現社長と出会い、SNSで『獺祭』のファンが100人を超えたらごちそうしてください! と約束していたのですが、あっという間に300人を超えていきました。『獺祭』を広めるお手伝いをするのが楽しくて仕方ないという思いでいっぱいの日々でした」

 その後、斉藤さんは勤めていた会社の人たちからも応援され、円満退社。今、「獺祭」の広報として、また得意な英語を生かし、アメリカ東海岸の営業を担当。日米を行き来する日々を送っている。

 斉藤さんが幸せそうに語るエピソードからも、「獺祭」の蔵元が、旨い日本酒造りへの熱意の集団であることが伝わってくる。実際、手がける酒のすべてが純米吟醸、という旭酒造では、良質な日本酒米・山田錦を安定的に確保するために、ただ買い集めるだけでなく、兵庫、岡山、山口の農家への生産段階からの支援を手掛けているという。

昼に日本酒をキュッと飲むカッコいい女性



 そんな「獺祭」が生み出す酒の世界を五感で経験できる場所、とつくられたの「DASSAI BAR 23」である。

「獺祭」に込められた蔵元のスピリッツを長年にわたり取材してきたコラムニスト・勝谷誠彦氏は「日本の昼酒ほど後ろめたいものはない。堂々とそれができるのは蕎麦屋くらいである」という。

 その点、ランチタイムから営業し、日本酒はワイングラスやフルートグラスでサーブされるここでは、昼酒はもちろん、女性一人でも抵抗がない……というか、むしろそのほうが似会う。しかも、ランチ、バータイムを通して楽しめる、日本料理の名店「青柳」・小山裕久氏プロデュースによる食事やつまみはどれも絶品!

「ランチのときにシャンパーニュや白ワインを飲み、そのあと次の仕事に出かけていく、フランスやイタリアの女性のように、日本酒をキュッと飲んで次の予定に出かけていく、お客さまにはそんな格好いい女性が多いですね」と斉藤さん。

 串を片手に角打ち、も確かに楽しいかもしれない。が、たまにはこんなバーで背筋を正して、「昼酒の似会う女」になりきってみてはいかがだろう。

「オッター フェスト サケ」グラス750円 フレッシュタイプの発砲にごり酒。アルコール度数13%と少なめで女性におすすめ。非売品のため、ここでしか飲めない

 食事は上階の料亭「青柳」主人・小山裕久氏による日本料理店「京橋 婆娑羅」が提供。

 下の写真は、「和牛サーロイン肉の焼き刺身 わさび醤油添え」(3,100円)絶妙な焼き加減の上質肉は飲み込むのが惜しいほど/「海鮮と若布の酢の物」(1,300円)酸味を抑えた「青柳」特製酢ゼリーが素材を引き立てる/唐墨(2,400円)国産にこだわった逸品。大根と一緒に

「獺祭」の直営バーの食事

食事は上階の料亭「青柳」主人・小山裕久氏による日本料理店「京橋 婆娑羅」が提供

【DASSAI BAR 23】
東京都中央区京橋3-1 東京スクエアガーデンB1
(予約不可)
月~金
ランチ・ティータイム 11:00~14:30
バー 16:00~24:00
土曜
バー 12:00~24:00
(バータイムは別途チャージ1人\1,000)

●DASSAI Store
併設の売店で「獺祭」各種銘柄を購入できる。現在は銘柄に関わらず、1人1本まで

獺祭 天翔かける日の本の酒』1620円(西日本出版社刊)
銘酒「獺祭」の魅力を20年前から語り続けてきた勝谷誠彦氏の新刊。
旭酒造は山口県岩国市の獺越(おそごえ)という地にある。社長の桜井博志氏さんは、酒の命名にあたり、この「獺」という字から、俳人・正岡子規の別号「獺祭書屋主人」を思い浮かべたという。そして「いっそ読めない漢字を銘柄にしてはどうだろうか」……と生まれた酒が、今では酒好きの皆が読める銘柄に。山奥の蔵元・桜井博志氏が取り組んできた酒造りの歴史を伝える、日本のモノづくりの底力を感じる一冊。

<TEXT/小原美千代>

獺祭 天翔かける日の本の酒

現職首相がアメリカの大統領に贈ったことは記憶に新しい、現在日本で最も脚光を浴びている日本酒のひとつ「獺祭」。 今でこそいろいろなメディアで取り上げられる獺祭ですが、20年前獺祭がまだ知る人ぞ知る存在だったときから、その名をあちこちの雑誌で書き、素晴らしさを語り続けた勝谷誠彦が、獺祭、そして桜井博志の酒造りに対する考え方の真実を書き下ろしています。




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